第T部 私たちは何をめざすか
序章 非武装中立と平和革命の道 ―― 21世紀宣言の要旨
第1章 21世紀の新しい社会 ――私たちの長期目標
第2章 「憲法を生かす」共同戦線と連合政府 ――当面する中期目標
第U部 私たちはどんな時代を生きているか
第1章 今日の世界と日本
第2章 私たちが勝利できる条件 ――現代の階級関係と成長するたたかい
第T部 私たちは何をめざすか
序章 非武装中立と平和革命の道−21世紀宣言の要旨
1.私たちは「 21世紀の新社会党」として大きく前進します
私たちの目標は、憲法を基に平和・人権・民主主義を確立し、平和革命によって民主的な新しい社会主義社会を実現することにあります。
私たちは、大資本本位の政治を根本的に変革して、労働者が農漁民や小経営者や市民と協力して主人公となる政治に転換しなくてはなりません。そのためにわが党は、「21世紀の新社会党」として飛躍し、非武装中立、脱原発など20世紀の日本社会党の良き基本政策は継承・発展させ、欠陥や誤りは克服して、働く者と市民一人ひとりに依拠し、民主主義の精神に満ちた党として発展します。
2.戦争と失業に反対し憲法を生かす共同戦線と政府の樹立をめざします
私たちはまず、平和憲法の改悪を阻止し生かすたたかいの先頭にたちます。今日、長年のたたかいの成果である平和と人権と民主主義が、大資本と保守勢力によって踏みにじられ、明文改憲が企てられています。
憲法改悪阻止の運動は、「平和・人権・環境」「教育・福祉・自治」をめぐるたたかいの中で発展する住民・市民運動や、生活と権利を守り、解雇・失業に反対して団結を強め、連帯を広げる労働者のたたかいなど、日常的な運動と組織を強める中で地域に根ざしたものにならなければなりません。
これらは共同の行動を通じて、大きな流れとして統一されていく必要があります。私たちは、それぞれのたたかいの先頭に立ち、共同行動を広げ共同戦線を実現するための要の役割を果たします。そして大きく前進する憲法改悪阻止のたたかいに支えられた、「憲法を生かす連合政府」の樹立をめざします。その政府は、民主主義を拡充するたたかいと、大資本から自立したさまざまな運動の共同の戦線に支えられます。そして軍事同盟を解消し、戦争協力は拒否し、憲法の平和と人権と民主主義の規定を社会のすみずみに生かし、自立性と独自性のある地方自治の発展を保障し、実現します。
またこの日本国憲法の理念を世界に呼びかけ広げていきます。
3.民主的な新しい社会主義社会をめざします
さらに私たちは、広範な人びととともにこれらのたたかいを発展させることを通じて、21世紀の長期目標として、日本における社会主義社会の実現をめざします。憲法を生かす連合政府は、その運動のなかで育まれる労働者階級をはじめとした民衆のエネルギーと英知にもとづき、民主主義を拡充・徹底することによって民主的な新しい社会主義の政権へと飛躍・発展させることができます。世界の人びとと連帯しながら、日本社会の人間的な発展を最も実り豊かに担うことが私たちの願いです。
21世紀の新社会党は、ソ連・東欧型社会主義とも、大資本の支配を前提にして軍事力の行使を是認する社会民主主義とも異なった、新たな国際的・国内的諸条件のもとでの平和革命による社会主義をめざします。
巨大企業は社会の全成員の共有財産に移行して、利潤中心主義に代わり失業も搾取もない共同的システムをとり、個人が尊重され、男女が共に社会的・家庭的責任を担い人間らしく生き生きと生活できて、差別も環境破壊もない人権と共生の社会と、国際的には戦争も軍備も格差も貧困もない世界をめざします。それは、多国籍化した巨大資本と「大国」による搾取と収奪、抑圧と横暴とたたかう全世界の民衆と連帯するなかで、勝ちとられま
す。
第1章 21世紀の新しい社会−私たちの長期目標
1.資本主義に未来はない
いま新自由主義の姿をとって弱肉強食の資本主義が荒れくるう世界に、新たな社会主義のルネッサンスが始まっています。
資本主義は、20世紀に2度の世界大戦をはじめ幾多の戦争をもたらして、1億を超える人命を奪い、はかりしれない財産を焼き払いながらも、21世紀に生き延びています。
資本主義は主要な生産手段が一握りの資本家階級に私有され、人間の労働力をも商品化し、買われない商品としての失業を常に生みだす、非人間的な社会です。資本の利潤のためには、人間の命や健康を惜し気もなく奪い、自然環境を破壊してゆく社会です。
近年はME(マイクロエレクトロニクス)革命によるコンピュータ化、ロボット化によって、多くの人びとが職場から駆逐されました。さらにいま、IT(情報技術)革命と国境を越えた資本の合併・吸収や移転による産業の空洞化と新自由主義的「構造改革」は、多くの失業を生み、国の内外で貧富の格差をはてしなく拡大しています。今日、先進資本主義諸国の生産力はきわめて大きくなり、あり余る富が生産される時代になっているのに、世界のいたるところに生活苦が増大しています。
資本主義は、地球の温暖化や砂漠化、環境汚染、新たな疾病などをもたらしながら、それらを解決することもできません。一方でバイオテクノロジー等の先端技術の資本主義的利用は、人間の尊厳と安全を著しく損なおうとしています。
封建制を打ち倒した生長期の資本主義とは異なり、今日の資本主義は歴史的進歩性をすっかり失っているのです。グーバル化した大競争が際限ないリストラを強制し、弱肉強食、失業や自殺の増加、雇用の不安定化、巨大独占資本支援のための財政赤字と大衆増税と福祉切捨て、途上諸国における困窮の蓄積等々の傷口は、ますます拡大していきます。
このような根元的で長期的な「解決不能」の危機に直面している米欧日などの資本主義諸国は、大国と巨大多国籍資本の支配権を脅かすものは許さないと、軍事力、経済力、科学技術にモノをいわせた抑圧、支配、介入などの戦略を展開し、新たな戦争を引き起こすなど、「力」で矛盾を封じ込めようとあがいています。アメリカ的民主主義や西欧的社会民主主義には、日本に比べて進んだ側面もありますが、総じて資本主義的民主主義の限界をあらためて示しています。
社会民主主義は大資本の動向をあれこれ規制するにとどまり、大資本の支配つまり資本主義制度そのものをなくすることは目標としません。しかし失業と生活苦を生み、自然と人間を荒廃させ、残虐な戦争をくりかえす資本主義に未来への希望は託せません。
人類が、人間相互の、また自然との共生を実現するには、もっと人間的な新しい社会に生まれ代わらなくてはなりません。大資本の利潤追求が中心となって人びとを支配する社会の不公平で不平等な経済秩序を変革する新しい社会です。人びとが平等に社会の主人公となる新しい社会です。いかなる意見や利害の対立も、戦争や武力による威嚇、武力の行使によらず、話し合いと交渉によって平和的に解決し、核兵器を廃絶し、大幅軍縮を実現する社会です。資本主義から社会主義への転換は、このような人類的課題であり、人類共通の事業とならなければなりません。
それは特定の歴史的条件のもとで、社会主義の基本を逸脱したために崩壊したソ連・東欧のような、古い社会主義ではありません。人類が実践した様々な社会主義の試みの成果からも、また失敗からも学び、マルクスやエンゲルスによって基礎づけられた社会主義の理論を
21世紀に適用した、人間的で民主的な新しい社会主義です。
戦争と失業に反対し憲法を生かす共同戦線を基盤にしてやがて樹立される連合政府は、21世紀において内外情勢の進展、中期政策の実行、国民意識の成長、共同戦線の量的・質的発展とともに、新しい社会をつくる安定して持続的な政権へと発展することになります。資本主義から社会主義への必然的発展法則は、このような日本の諸条件にそった私たちの主体的実践によって、国際連帯の中で人類共通事業の一翼を担う形で実現されるのです。
2.私たちのめざす社会主義社会
《四つの基本目標》
私たちは、未来を失った資本主義に代わって、次のような人間的で民主的な社会主義社会の実現を長期的な基本目標とします。
(1) 民主主義をあらゆる分野で発展させ、直接民主主義を大切にします。
(2) 経済的には、利潤中心主義に代わる、搾取も失業もない人間が主人公の共同的システム。
(3) 社会的には、差別も環境破壊もない、ゆきとどいた教育や生活権が保障される人権と共生の社会。
(4) 国際的には、戦争も軍備も格差も貧困もない連帯と共生の世界。
(1) コミュニティーと自治を基礎とする、民主主義が満ちあふれる社会血の通わない弱肉強食の社会に代わって、お互いの顔がみえ、すべての人格が尊重される、地域的・社会的なコミュニティーが、私たちのめざす社会の基礎となります。このコミュニティーを支えるのは、一人ひとりが主権者となる直接民主主義です。
国や自治体レベルでは議会制度など間接民主主義が不可欠ですが、住民投票をはじめ、常に民意が正確に生かされるよう可能なかぎり直接民主主義も重視して、間接民主主義を充実させる社会です。取り組むべき内容が深く検討され、弱い立場にある者の意志や人権が大切にされる発展した民主主義です。いいかえると次のような特徴を持っています。
@ あらゆる場に庶民のための民主主義が満ち溢れる、官僚主義に無縁な社会。
A 議会制民主主義を発展させ、金権・腐敗が生まれる余地のない民主的な選挙制度と解職制度を有し、特権的官僚のいない社会。
B 住民の自治権が確立された、直接民主主義重視のコミュニティーが基礎となる社会。
C 女性も男性も対等な人間関係のもとで、平等に個人として尊重され権利が保障される社会。
D高齢者も障害者もあらゆる活動に参加できる条件を地域につくる社会。
E思想・信条・信教・結社などの自由も保障される社会。
(2) 資本に搾取されたり首を切られることのない、人間が主人公の共同システム」 日本で有業者人口の8割を超えた労働者階級は、今日では生産手段を持たず、労働力を買い取ってもらうしかない階級です。労働者は資本に従属して搾取され、働いた成果は企業のものとなってしまいます。生産性を上げるほどに労働力はたえず過剰となり、首を切られ、労働者の生存はますます不安定になります。
高校や大学を出ても定職につくことすら困難になり、多くの青年が絶望の淵に投げ込まれています。
私たちのめざすのは巨大企業は名実ともに社会全体の共有財産となり、働いた成果が自分逹みんなのものとなって、老後を含めた生活と福祉の向上に直結する社会です。それは次のような特徴を持っています。
@ 労働者が社会的企業の主人公になって、資本に従属し支配されることがなく、労働力が商品ではなくなり、失業も搾取もなくなる社会。
A よりよい技術で生産性を上げることが、失業や不況の発生ではなく、労働時間の短縮や豊かで安定した生活、福祉の向上となる社会。
B 社会的企業は名実ともに自分たちの貴重な共同の財産と実感され、労働者が主体的・民主的に管理運営する社会。
C 戦争や抑圧、その他の人間性無視や環境破壊の労働から解放され、個々人の創意と意欲が発揮され、労働そのものが生きがいとなり喜びとなる社会。
D 新卒者はもとよりすべての青年が夢と希望をもって職に就くことができ、素質を全面的に開花させながら、子どもを生み育てることも、さまざまな活動もこころおきなくできる社会。
E 高齢者にも、障害者にも働ける「人にやさしい職場」をつくる社会。
(3) 人権と平等な生活権や教育が保障され、自然と社会が共生する人権・共生の社会
資本主義社会では巨大資本などの強者はますます強く大きくなり、弱者は人権も生活権も奪われています。庶民の医療も福祉も改悪され、特に老後の生活は暗澹たるものです。
自然環境は破壊され、地球の温暖化も防止できず、無数の有害物質が子々孫々におよぶ健康を破壊しようとしています。限りある貴重な資源が、大資本の利潤のために浪費され、リサイクルも限定的にしか成り立ちません。
私たちがめざすのは、これらを根本的に変革する社会であり、次のような特徴を持っています。
@ 人間の生命(いのち)と自然との共生がすべてのものの上におかれる社会。
A 人権と平等な生活権が保障され、階級差別、女性差別、部落差別、民族差別、障害者差別、高齢者差別などあらゆる差別をなくする公平公正な社会。天皇制など特権階層もなくする社会。
B ジェンダーフリー(性差別文化のない)社会として、男女が共に社会的・家庭的責任を担い、人間らしく平等に生き生きと生活できる社会。
C 子どもと青年の人権や未来を保障し、ゆとりある教育と生活のもとで、だれもが文化・芸術・スポーツ活動などに参加し、個性あふれる生き方を追求できる社会。
D よりよい医療や福祉や教育が、すべての人びとに社会的に保障され、たえず改善される社会。
E 自然環境と安全な食品が大切にされ、有害物質は企業活動の発生源で絶たれ、環境の保全・浪費の抑制・資源の節約などが優先される循環型の社会。
F 原発もプルトニウムの生産・利用もない、風力や太陽光等のソフトエネルギーを中心にすえる社会。
(4) 軍事力を持たず、相互信頼に基く人類の共生をはかる不戦・平和共存の世界民族間や国家間のいかなる問題も、軍事力の行使や戦争では少しも解決にならず、悲劇を拡大するだけであることがいよいよ実証されています。ところが多国籍化した巨大資本は、権益を守り拡大するために、軍事介入や戦争の体制を強めています。
私たちのめざすのは、憲法第9条を守りぬき、これを実現して安保条約も自衛隊もなくするとともに、この理念を世界に広げ、国際主義を大切にして政党や労働者組織を含む人々の国際協力・連帯を推進し、いかなる軍事介入も戦争もなくし、一切の問題は話合いで解決する非武力の社会です。いいかえると次のような特徴を持っています。
@ 率先して軍事同盟も軍隊も解消した非武装永世中立の先進国として、世界に平和外交と国際協力を積極的に展開し、恒久平和の確立と、軍備も貧困も格差もない世界の実現に最も貢献する社会。
A それぞれの国の条件に応じて平和と社会主義をめざす民衆と民衆、党と党、国と国とが、対等平等のインターナショナリズムの立場で協力・共同する社会。
B だれもが平和友好を深め、真に人間的な国際協力・連帯を推進することに参加できて、途上諸国の人びととも協力しあい、共生できる社会。
このような社会主義社会を実現することが、21世紀の新社会党の大きな任務です。
《新しい社会主義実現の条件》
先の「四つの基本目標」は単なる願望ではありません。それを実現する次のような諸条件を、資本主義の発展自体と一世紀にわたる人類の諸経験が与えているのです。
(1) 帝国主義戦争のさなかに民主主義が未発達なままで武力革命によったソ連や中国などと違って、民主主義の発達により、平和革命(国家権力と大企業所有権の平和的移行)こそが現実的となっています。
ソ連などでは革命後も他国の軍事干渉や侵略にうちかつ軍事力が必要であったとはいえ、その後の核兵器などの軍拡競争や軍事介入がいかに有害無益であったかはすでに証明されています。
世界に広がる核廃絶と軍縮、平和を求める声は、不戦・非武装こそ現実的・必然的であることを示しています。平和・軍縮・共生のための多国間協議・協力機構を確立し、非武装永世中立宣言を発して、軍事同盟も軍隊もない新しい社会主義の日本を出発させることができるのです。
(2) 共同戦線に支えられる連合政府(共同戦線政府)の発展を通して実現する社会主義であるために、ソ連などのように一党だけになることもありません。複数の政党が最良の政策を追求して切磋琢磨し、信頼を競い、協力することによって、誤りも腐敗も官僚主義も防ぎやすく、すべての人びとの人格や意志が大切にされる条件にもなります。
(3) 資本主義は地球の使い捨てを進めてきましたが、先進資本主義に対抗して生産力を上げることを優先した古い社会主義と異なり、新しい社会主義は、地球の有限性を正しく考慮にいれることができます。自然との共生を推進しながら、有限な資源は、戦争や軍事利用による浪費をはじめ資本主義的利潤追求に起因するあらゆる浪費をなくし、計画的にもっとも有効的・循環的・持続的に活用することができます。高度に発展した科学技術の人類のための利用は、原子力発電をはじめとする危険な生産手段や有害な消費手段を速やかになくすることもできます。
(4) すでに日本では、生産力はあり余るほどに大きくなっており、失業をなくし、意志のあるすべての人が就業するだけでも、必要なものは十分に生産した上で大幅な労働時間の短縮も、年金や医療等の改善も、途上諸国への支援も可能です。
(5)ソ連や中国などでは、生産力も低く、生産は小規模に分散し、無数の小生産者が市場関係だけで生産物を交換していた困難な条件から社会主義社会の建設に着手せざるを得ませんでした。
今日の日本では、主要な生産手段と多くの消費手段は、少数の巨大企業で、企業内やグループ内やコンビナート内ではきわめて「計画的」に生産されており、それら全体を労働者が社会の共同のものとすることによって、社会全体の必要に応じて生産のありかたを民主的・計画的に管理運営する条件が広がっています。またすでに教育・福祉・医療など公共的に社会的に配分されるサービスも増えています。
民主主義の全国的浸透と情報通信技術(IT)、交通運輸手段の飛躍的な発展は、これを労働者の手に移すことによって、必要な分野では直接民主主義を基本にすえることができるほどに民主主義を発展させる条件になり、市場経済を活用しながら、迅速に的確な計画経済を民主的に策定・運営することも容易になっています。
これらのことは、民主主義や情報公開などの拡充とあいまって、官僚主義や特権的階層の発生を未然に防止できる条件と、労働者が社会的企業を自分たち自身の貴重な共有財産と実感できて、個々人の創意性と意欲が発揮される条件とを生みます。
3 発展に不可欠な平和革命
(1) 大企業は社会的共有財産へ
「4つの基本目標」を実現するためには、銀行など総ての巨大資本を社会的共有に転化することによって、巨大資本の支配を解消することが必要になります。
社会的共有企業の民主的な管理運営には、そこで働く労働者が中心となり、地域コミュニティーや産業別労働者組織や全国的経済・行政機関や学術団体等が参加・関与します。
(2) 社会的共有化に際しての基本的な考え方
主要な生産手段をはじめ総ての巨大企業を一握りの大資本家(大株主)の手から、すべての働く者と市民の社会的共有物に移行するのは当然です。
巨大企業と、小企業や農業などとは区別しなくてはなりません。小企業の多くは自営業です。自営業は資本主義的経営と違い、自分と家族や親戚で小さな生産手段や店を持ち、ほとんど自らの労働で営んでいる事業なので、それぞれの活動が尊重されなくてはなりません。
所有形態は規模や性格等にしたがって国有、自治体有、協同組合有,NPO有、私有などの多様な形態をとります。
日本の農業は大部分が自営業なので、農地や農業機械等の所有権を移行させる必要はなく、自主的に共同化などを希望する場合はそれを援助するなど、安全・安価・良質の食料生産向上のために支援しなくてはなりません。
都市部のコミュニティーと農村部のコミュニティーとの連帯した協力関係も必要になります。地域コミュニティーの文化を発展させるためにも、地場産業の育成や小企業の共同化支援などは非常に重要です。
生産・消費協同組合やNPOやNGOや地域通貨なども積極的な芽をもっています。
(3) 必要な新たな政権の確立とそれを支える力
大企業を社会的共有財産に移行して、労働者階級が民主的に管理・運営することを基礎に、4つの基本目標を実現していくためには、先進的な歴史的任務をもつ労働者階級の力に支えられた、働く人びとの強固で持続的な社会主義政権を確立しなくてはなりません。
それには、労働運動が資本による分断を克服し、企業を超えた連帯を実現することが必要です。そして、すべての被抑圧階級・階層の利益と、平和と民主主義を守る勢力へと成長していなければなりません。
民主主義的、企業横断的労働運動の遅れた日本では、これには長期の粘り強い努力が必要です。
民主的多数派によって勝ちとられた連合政府(共同戦線政府)は、中期的政策を実現する前進の中で、社会主義的多数派による共同の政権へと発展させなくてはなりません。新社会党が中心となって共同する社会主義諸党が国権の最高機関である国会で安定的多数を獲得し、大資本と癒着した官僚機構に代えて、労働者階級による徹底的に民主的な新しい行政機構もつくらなくてはなりません。
憲法を生かすための連合政府の段階で、日米安保条約を解消し、自衛隊も大胆な縮小から解消へ進めなくてはなりません。官僚機構や警察や司法等々は民主化して巨大企業や保守政党との癒着を断ち切る改革を進めなくてはなりません。社会主義政権はこれらの改廃を徹底し、すべての諸機構を社会主義の方向に適応させます。社会主義建設を妨害する一切の暴力組織はなくします。それらが古い体質をもったまま残存すればするほど、巨大企業はそれらを総動員して資本主義体制を守るために全力を挙げようとします。巨大企業を社会的共有財産に移行する立法にも、その施行にも、最大限の抵抗を試みかねません。
それを法的に防ぎ、民衆が平和的・民主的手段でうち勝って、この歴史的な変革を成し遂げるためには、新しい社会をめざす党の組織や自治体議員や国会議員が拡大強化されて、生活を守り民主主義を拡充する共同戦線が量的にも質的にも強大なものに発展していること、その土台には歴史的使命を自覚した労働者階級の組織が大きく成長して、党と有機的
関係を結んで大きな力を発揮できること、それらに支えられて社会主義の政権は、十分に強固なものとなって安定化することが不可欠です。
4.社会主義日本と国際社会
資本主義先進国の日本で本格的な新しい社会主義の変革が実現すれば、アジア諸国へはもちろん、世界に大きな影響力を持つようになります。
その一方、米国などの妨害や経済制裁による混乱が引き起こされる恐れもありえます。しかし一つには日米平和友好条約と日米労働者・市民の連帯行動によって、二つには永世中立宣言の国際的効果によって、三つには日本の国際的寄与に対するアジアをはじめ世界の諸国民の期待と連帯によって、四つには貿易・投資・金融などにおける日米の相互依存によって、米国の一方的な暴挙は不可能になります。
今日の資本主義は、決して一国的なものでも地域的なものでもなく、「世界資本主義」として存在しています。社会主義社会の建設にはより強い国際的な連携が求められるなど、私たち人類がその「世界市場」をどのように克服し、共生の場とすることができるかは、人類にとって巨大な課題であり、多くの未経験の問題にも直面し続けるに違いありません。
私たちは、世界諸国の社会主義政党をはじめ民衆との国際主義を大切にし、国連を民主化し、この取組みがいのある事業において勇気と希望をもって前進します。
第2章 「憲法を生かす」共同戦線と連合政府−当面する中期目標
1.改憲をめぐる総力戦に勝つために
(1) 憲法と明文改憲の策動
憲法改悪の策動は、急速に加速してきました。一般に憲法は、国家(支配者)の統治の原理とあり方を示すものですが、同時に民衆が勝ち取ってきた原理や権利も示されるものです。日本国憲法では、前文をはじめとする不戦・非武装、基本的人権、主権在民のいわゆる「憲法3原則」や社会権、地方自治などにそれが体現されています。したがって日本国憲法を変えるということは、国家の統治の原理とあり方を根本的に変え、憲法3原則など歴史的な成果と民衆の重要な諸権利を奪うことを意味します。
改憲派による最近の憲法改悪の策動は、戦後続いた「復古的」改憲の要素よりも、多国籍化し世界的な大国として国際社会に覇を唱えようとする日本の支配階級の「新たな国家戦略宣言」の要素の方が強くなっています。このような明文改憲の公然化は、支配階級がもはや解釈改憲や違憲立法の範囲にとどまることはできないと判断しつつあることを示しています。こうして憲法をめぐる攻防は、総力戦とならざるをえません。
(2) 憲法改悪反対の総結集を
この総力戦に勝つことは決して不可能ではありません。改憲の世論づくりが進められた今日でも、第9条の改憲に反対する人の方が賛成する人を上回っています。庶民の生活を破壊し、憲法を改悪しようとする政治勢力は、いまは圧倒的な強さをもっているかに見えますが、その中核は一にぎりの独占的な大資本家階級とそれを代弁する新旧の保守政党にすぎません。
彼らに支配、搾取されている労働者や農漁民、小経営者など働く人びとはいまは分断され誘導されていますが、人口の圧倒的多数を占めています。この人びとの中に、平和と人権と生活を守る運動のうねりをつくりだし、戦争と失業に反対し憲法を生かす共同戦線をつくることができさえすれば必ず勝利します。
(3) 戦争と失業に反対し憲法を生かす共同戦線を
私たちは、沖縄をはじめ全国での基地機能の強化、戦争協力の強制と有事立法、自衛隊の軍事行動の拡大や新兵器の導入、「日の丸・君が代」の強制や盗聴・総背番号制、天皇制イデオロギー、「皇国史観」などに抗し、基地の縮小・撤去、海外派兵反対、非核・軍縮、国際的な連帯運動、思想・良心・信教の自由などのためにたたかいます。
介護・年金・医療などの改悪と国民負担の増大、消費税の再引き上げ、大企業への公費投入の拡大などに抗し、不公平税制の是正や消費税の廃止、公的介護制度確立などの運動を広げます。
首切り合理化・労働者の権利の剥奪などに抗し、雇用確保や権利の擁護、労働時間短縮などのたたかいを強めます。
農業切り捨て、環境破壊に抗し、農業と生態系を守ります。小企業や地場産業の切捨てに抗し、地域の自立と生活や文化のために協同します。
2.広範な共同戦線の構築へ
小選挙区制の廃止、企業団体献金の禁止、選挙の全面公営化、議員定数の削減反対のたたかいを強めます。
私たちは、これらを広範で多様な人びととともに全力でたたかいぬき、憲法改悪阻止の戦線を広く豊かに鍛え上げていきます。
私たちは、情勢と課題により社会民主党や日本共産党など他党との共同行動を進めますが、その基本はあくまで大衆的な運動を自ら組織し、参加し、発展させることに置き、その中で私たちの政策や方針、行動への理解と支持を広げていく立場をとります。
改憲反対の勢力の中には、たとえば第9条についても、「非武装」から「専守防衛」まで、「中立」から「安保条約容認」まで、さまざまな主張や立場の違いが存在しています。改憲派は、このズレを巧みに突き、「環境権」や「プライバシー」「知る権利」などを提起して、改憲派自身が否定してきた諸権利さえも、改憲の狙いをごまかすために利用しようとしています。
私たちは、このような憲法論争とあわせて、憲法改悪阻止の大運動を組織し、展開します。この大運動では、政策上の違いを残しても、「憲法改悪反対」の一点で共同できるあらゆる団体、個人を総結集するという大胆で柔軟な共同行動を組み上げることが必要です。
私たちは、できるかぎり持続的な共同行動を追求し、それを全国各地に根づかせていく立場をとります。労働戦線においてもナショナルセンターや単組・産別の枠をも越える運動を支持し、発展させます。
3.共同戦線に支えられる「憲法を生かす連合政府」
(1) 「憲法を生かす連合政府」
これらのたたかいの中で、「自分たちの政治権力と構造」を準備する政府をめざすことが日程に上ってきます。
そして、運動に参加する膨大な労働者、市民の判断と選択によって正しい政策や主張が支持され、確立していくことになります。
このような陣形をつくり、支配層の改憲の野望を打ち砕くことができれば、その勝利の上に、共同戦線に支えられた「憲法を生かす連合政府」を樹立する展望が開けます。
(2) 「憲法を生かす連合政府」の基盤
私たちがめざす連合政府は、広義の護憲勢力が国会(少なくも衆議院)で多数を占めるという政治的基盤が必要です。
保守・改憲勢力が多数党のまま、その補完とか失政の尻拭いのために一時的に連立するという形での政権参加では、憲法を生かす政策はほとんど実行できません。
私たちは、これまでの「保革」連立政権の役割と結果、人びとの失望や落胆をもたらした経験を教訓として、確固とした政治的な支持と基盤の上に立つ政府の樹立をめざします。
単に選挙得票による国会での多数だけでなく、「憲法を平和と暮らしに生かす」という大原則で一致する広範な人びとの共同と連携が、その実体的な基礎になければなりません。
政治と社会で「憲法を生かす」には、地域でも職場でも保守勢力と大資本の力を圧倒することが不可欠です。
私たちは、資本や権力から自立した労働者の運動、平和や民主主義、人権、環境などの多様な課題や要求と取り組む市民の運動、直接民主主義や自治のための住民の運動、これらとの共同・協力で人間らしい街づくり、農村づくりをめざす小経営者や農漁民の運動、国境や国籍を越えたアジアや世界の人びととの連帯の運動など、人びとのエネルギーと声を総結集した新しい政治勢力の形成に努めます。
(3) 連合政府による「憲法を生かす」改革の推進
「憲法を生かす連合政府」は、資本主義をただちに廃止することにはなりませんが、経済社会の民主的改革にただちに着手し、政治と行政、法律と制度を次々に改革していきます。
その主な内容や政策は、「私たちの中期的な政策―憲法を生かす連合政府をめざして」に示しています。
改革の方法は、官僚に依存するのではなく、政府や政党、国会議員が、可能な限り現場と現地の人びとの参加・決定・運営を保障し、促進し、発展させることを通じて改革を進めます。あらゆる改革と問題が現場と現地で議論され、合意が形成され、改革や解決の方法が見いだされ、それらが連合政府の政策として、法律や制度の改廃として進められていくことになります。
民主主義は、人びとの「投票の時だけの主権者」の地位から、「いつも、あらゆる分野での主権者」へと、可能な限り直接民主主義を大切にするものへと発展させていきます。そのなかで、人びとが望む新しい人間的な日本社会のビジョンが浮かび上がってくるのです。
利潤のためには戦争をも起こしかねない多国籍巨大資本にとって、民主主義は邪魔者となっており、たえず形骸化させようとしています。それに抗して、平和と人権を守り、民主主義を拡充するのは、私たちの重要な任務となっています。
第U部 私たちはどんな時代を生きているか
第1章今日の世界と日本
1.世界史的な転換期に直面して
(1) 資本主義の成立と無産者階級
18世紀に市民革命と産業革命を経てヨーロッパで成立した資本主義社会は、封建体制下の農奴などの身分制を打破しましたが、資本家階級と労働者階級の新たな階級対立を生みました。
この資本主義は、「自由主義社会」を標榜しながら制限選挙制度を採用し、無産者階級を政治的意思決定から排除しました。無産者を政治から排除することこそ「優勝劣敗」「適者生存」の社会進化の理にかなう、とされていました。しかし資本主義の難病としての恐慌は繰り返され、社会はますます不安定化しました。このような資本家階級にとっての「自由」「民主」「平等」に敢然と異議を唱え、抵抗運動の中心となったのが社会主義者たちであり、マルクスやエンゲルスによって科学となった社会主義の思想と理論でした。
(2) 社会主義の誕生と拡がり
20世紀に入ると独占資本が成立し、資本主義は帝国主義となって、その巨大な生産力に見合う市場獲得と資本輸出のために地球上の全領土を分割し、不均等発展による世界的な植民地再分割、領土争奪に乗り出し、資本主義列強の間で二度の帝国主義世界戦争をひきおこしました。
その結果、第一次世界大戦の中からロシア革命が起きてソ連が生まれ、第二次世界大戦後には、ソ連の支援を伴ってナチスドイツから解放された東欧諸国にも、また反植民地・民族独立闘争の高揚で植民地が次々に独立を勝ちとるなかで、中国、ベトナム、北朝鮮などのアジア各地やキューバにも社会主義を掲げる国が成立しました。社会主義運動は、反植民地闘争や各国内の民主主義勢力と連携して世界的にひろがり、実質的な「自由」「民主」「平等」の実現をめざす旗印となりました。
(3) 改良と資本主義への取り込み
労働運動の発展とロシア革命の成功の前に、先進資本主義国の支配層も、普通選挙の実施や、社会政策による生存権の一定の保障など、無産者階級に譲歩せざるをえませんでした。
資本主義のこのような政策的変化をとらえて、社会主義者の中にも、資本主義が根本的に変化したと見る社会民主主義などの潮流が生まれました。その潮流は、資本主義の枠内の社会改良が主目標だと考え、第一次大戦では第二インターの反戦決議に反して自国政府の戦争政策に協力して「祖国防衛」を支持しました。
1929年の大恐慌以降には、ケインズ政策が登場しました。国家が富裕層に累進税を課し、公共事業や福祉政策で雇用創出や富の再配分をすれば、国内市場が広がって恐慌を防ぐことができ、階級対立も緩和できるという考えです。しかし大恐慌の長期化は、後発資本主義工業国のドイツやイタリア、日本などにファシズムを生み、その軍事侵略路線が米英などの権益と衝突し、ついに第二次大戦を起こしました。
恐慌はケインズ政策でも解決できず、過剰生産力は戦争によって「解消」されることになりました。ソ連は多大の犠牲を払ってナチスを撃退しました。また社会民主主義勢力も、反ファシズム統一戦線で一定の役割を果たしました。
北欧や西欧の社会民主主義と労働者のたたかいは、福祉や労働条件や人権や民主主義の
拡充などにおいて、資本主義の限度内とはいえ、多くの成果を上げています。
(4) 核と「冷戦」の時代
第二次大戦の終了は、米ソを両極とする冷戦の始まりでもありました。世界で最初に核兵器を開発した米国は、大戦後の世界支配の戦略の観点からヒロシマとナガサキに原爆を投下し、数十万人の非戦闘市民を殺りくしました。
ソ連は米国に対抗して直ちに核兵器の開発を進め、英、仏、中国、イスラエル(最近では、インド、パキスタン)も核保有国となっていきました。こうして一握りの核保有国が数万発の核兵器を開発、蓄積し、「恐怖の均衡」による熱核戦争の抑止、いわゆる「冷戦」体制が成立しました。世界は米ソ両陣営に分割され、東西対立の時代が長く続きました。
朝鮮戦争やキューバ危機、ベトナム戦争では、核戦争の寸前までいきました。冷戦時代には、世界人類は分断と相互不信、恐怖の下での生活を強いられただけでなく、地域紛争も両陣営の介入や利用、それによる混乱や犠牲など大きな影響を受けました。しかし米ソ自身も、膨大な軍事費と物的、人的な資源の浪費で疲弊し、ソ連の崩壊と米国の力の減退を準備していきました。
(5) 「社会主義」諸国の変質と崩壊
冷戦時代の 45年間は、「自由主義」の弊害をケインズ政策で補う修正資本主義と、「平等」を重視する「社会主義」が鋭く対立しました。
しかし資本主義経済と民主主義が未熟な諸国で産声を上げた「社会主義」は、資本主義列強によるしめつけや、軍事的干渉、国内の経済建設や貿易などの困難に直面し、民主主義的な社会主義とは隔たった政治・社会体制へと進んでしまいました。
ソ連は、後進資本主義から出発をしながらも工業化における計画経済の優位性もあり、 70年代前半までは生産の量的な伸びでは先進資本主義国に追いつく勢いを示しました。しかしその後、経済の多様化と情報化、先端技術の急速な陳腐化などが世界的に進み、これにソ連の官僚主義的計画経済と大規模分業体制は対応できなくなりました。また、スターリンに象徴される社会主義からの逸脱、党と国家権力の一体化、官僚主義と特権的階層の発生と支配による民主主義の欠落、労働者の創意の封殺など、大きな矛盾をかかえていました。
「社会主義」諸国の共産党指導部は、自国の社会を民主的な社会主義社会へ改革できず、多くの民衆が資本主義の美化された「繁栄」に魅きつけられることになりました。これに冷戦の軍事負担も重くのしかかり、
70年代後半から「社会主義体制」の動揺が拡大して、 90年を前後してソ連、東欧の社会主義は瓦解しました。その後は、資本主義への歴史的逆行の中で、混乱と困難を深めていますが、その中からも新たな社会主義再生の芽も見られます。
他方では官僚主義や特権的階層の見られない小国キューバが、ソ連・東欧の崩壊後もアメリカ帝国主義の経済封鎖のなかで毅然と生き抜いている姿は、多くを示唆しています。
また、先進資本主義国がまだ一つも社会主義政権を実現できていないなかで、社会主義市場経済を進めている中国の社会主義も注目されるところです。
(6) ケインズ政策の破綻と新自由主義
資本主義陣営も、戦後の高成長が 70年代初頭にゆきづまり、やがてケインズ的政策に代わって新自由主義政策が台頭してきました。規制緩和の名の下に、行政、経済、社会の仕組みを多国籍企業の搾取と収奪に有利に作り替え、たたかう労働組合を弾圧し、労働者をはじめ庶民の既得権を奪おうとするものです。
資本主義の対抗勢力としての社会主義の後退も、資本主義の修正(労働者への譲歩)の政治的必要性を減じ、「適者生存」「弱肉強食」の自由競争万能主義を加速させました。
グローバリゼーションと情報化の進展は、世界を単一市場化し、資本は最も有利な投資先に瞬時に移動するようになりました。多国籍資本の母国の先進資本主義諸国は、世界市場を共同管理するためIMF・世界銀行体制に加えてWTO体制を構築し、毎年のサミットで意思統一をしています。
(7) 資本主義大国の戦略と国連の地位
米国を盟主とする西欧諸国と日本などは、「社会主義陣営」の崩壊・解体を踏まえ、世界全体を自分たちで共同管理する「新国際秩序」を構想しています。200ヵ国に迫る諸国が加盟する国連も、その戦略に沿う場合には利用するが、障害になる場合には無視して独自に軍事行動、軍事介入を行うという「新戦略」を打ち出しました。
その柱が東半球では 96年以来の日米新ガイドライン体制であり、西半球では 99年のユーゴ空爆とNATO新戦略の採択、欧州独自のEU軍の創設などです。双方に共通する「周辺事態への対処」という概念は、米欧日の利害にかかわる地域には、どこでも共同軍事作戦を遂行するという宣言です。
2001年秋の米国への「同時多発テロ」に対して、米国は国家による武力攻撃に対して限定的にのみ許容されている「自衛権」を発動し、NATOも「集団的自衛権」を行使しました。個人や集団に自衛権を行使し、「かくまった」という理由で「テロの共犯」として一国の政権を武力で打倒したのは、国際法も無視した公然たる武力による世界支配への道です。日本もこれに自衛隊を派兵して参戦したのは、憲法9条に対する公然たる反旗にほかなりません。国際的に形成された「反テロ同盟」も、実際は各国の利害の打算と思惑の結果です。一方で、米国はイスラエルのパレスチナ占領と武力攻撃を事実上容認・擁護して、自分の戦略や利害に都合のいい「二重基準」を押し通しています。アフガニスタンやパレスチナの民衆が戦乱と圧倒的な武力攻撃で受けた多大な犠牲や苦痛、世界中に生み出された大国への憎しみは、武力では何も解決しないことをあらためて証明しました。
(8) 再び資本主義に対抗して
こうして世界は、一方で巨大な富と軍事力が集積し、他方で貧困と失業と債務が累積するという方向に再び分裂を強めています。
社会民主主義勢力は、 70〜80年代には新自由主義に対抗し、労働者や女性、福祉や環境、少数者の権利の向上などに一定の役割を果たしましたが、政権につくと新自由主義的政策と軍事的覇権政策を継承、推進する誤りも犯しています。
左右の政治勢力が進めるEU統合・拡大とグローバリゼーションは、貧富の格差拡大、失業、福祉切り棄てなどを生み、敵を「EU」、「移民」に仕立てた極右を成長させています。失業、貧困と飢餓、地域紛争、環境問題、食糧・水問題、福祉問題など、いずれも市場争奪の競争原理では解決できないことは明らかです。
今日、世界規模の弱肉強食の資本主義に抗し、ソ連型社会主義や社会民主主義の過ちをくりかえさず、すべての人が平和に豊かに暮らせる新しい社会を構築しうる理論と運動が求められています。これこそが、世界史的な転換期に直面した私たちの任務です。
2.日本資本主義の形成と発展
(1) 明治国家と日本資本主義
資本主義で先行し武力を背景にした欧米諸国に開国を迫られた日本は、不十分なブルジョア革命としての明治維新によって「上からの資本主義」を作り出す方向に進みました。維新政府は、帝国主義列強に追いつくべく「殖産興業」を掲げて工業化に奔走します。基幹産業部門では官営工場を造って運営し、軌道に乗ると財閥に払い下げました。20世紀初頭には産業資本が確立した日本資本主義は、第一次世界大戦によって急速に発展し、独占資本の支配が完成しました。それとともに天皇制は絶対主義的内容を失ったものの、独占資本はその絶対主義の残骸を神殿に飾ることによって、「ブルジョア君主」として最大限に利用するところとなりました。遅れて植民地再分割を争う帝国主義諸国に仲間入りした日本の独占資本にとって、天皇制は大きな利用価値をもったのです。
ヨーロッパの階級闘争も教訓化し、帝国大学などを通じて出身階層を問わず能力ある者を引き上げ、支配層内に吸収するなど巧妙な機構を形成しました。
農村における膨大な潜在労働力の滞留は、労働者の階級としての自立を遅らせる一因となりました。また労働者や農民の萌芽的な決起に対しても、明治政府は社会主義への弾圧法規や労働組合の否認など、厳しい抑圧政策をとりました。このため日本の労働組合は組織化が遅れ、労働者政党も未成熟にとどまりました。
日本資本主義は、「富国強兵」策で武力を背景に台湾(1896年)、朝鮮(1910年)、中国東北部(1931年)を植民地とし、さらに領土・市場を求めてアジア諸国への侵略を進めました。無産者階級の運動が侵略に充分には抵抗できず、大政翼賛体制に飲み込まれていきました。
日本の侵略戦争は、アジア諸国に2千万人の、日本人にも3百万人以上の犠牲者をもたらし、苛烈な沖縄戦とヒロシマ、ナガサキの原爆で終止符を打ちました。
(2) 明治憲法体制の解体と日本国憲法体制の成立
日本は第二次大戦に敗れ、明治憲法下の軍国主義体制は解体されました。日本の支配層は、天皇制の存続と引替えに不戦・非武装の憲法を受けいれましたが、独占資本の復活とともに憲法第9条を敵視し、「押しつけ憲法」と非難してきました。しかし日本国憲法は、占領軍の指導によったとはいえ、民主的に選出された国会で新たに制定されたものであり、初めて自由と平和の喜びを経験した国民の強い支持を受けました。それは、主権在民を定め、不戦・非武装を誓い、基本的人権を保障し、さまざまな社会権をも保障した、最も先進的な民主的憲法でした。
経済民主化のために財閥解体や農地解放も行なわれました。戦争犯罪人は公職から追放され、社会党、共産党も活動を開始し、労働組合は法認されて組織率も
50%を超えました。
憲法も民主主義も、当初は必ずしも民衆自らの手でたたかい取ったとはいえず、象徴天皇制を残し、天皇やそれを利用した独占資本とその政治家などの戦争責任があいまいにされ、労働組合が企業別に出発したことなどは、戦後民主主義の脆弱点でしたが、幾多のたたかいの中で、憲法の理念は徐々に日本社会に根づいていきました。
(3) 日本資本主義の再生と冷戦による反動化
第二次大戦後、東欧、アジアなどに「社会主義」諸国が登場し、植民地が独立したことは、資本主義の支配層に恐怖を与えました。戦争の破壊から免れ、世界に冠たる経済力と軍事力を持つに至ったアメリカは、「自由主義陣営の盟主」として資本主義体制を維持するため、ブレトン・ウッズ体制でドルと金の兌換を保障して自由貿易体制を維持し、マーシャル・プランで西欧諸国に膨大な資金援助をしてNATOを結成しました。
アメリカはその戦略から、自由や人権を抑圧する独裁政権や旧支配層の復権すら容認しました。対日占領政策もいち早く転換し、旧支配層を復活させ、公務員の政治活動、労働組合運動を規制する公務員法や公労法を制定し、ストライキ権を奪うなど労働運動の切り崩しをはかりました。
50年に朝鮮戦争が勃発するや、共産党員を職場から追放し、戦犯を免責、復活させ、警察予備隊を組織して日本の再軍備にも着手しました。
朝鮮戦争の特需は日本独占資本の復活の呼び水となり、 53年には早くも戦前並みの生産能力が回復しました。復活した独占資本と、旧支配層を含む保守勢力は、「社会主義」諸国に対抗するため沖縄の占領継続を容認して米軍基地に提供し、日米安保条約を締結しました。
平和と人権を保障する日本国憲法の担い手は、労働運動を中心とする民衆運動しかなくなりました。産別会議にかわって労働運動の主導権を握った日本労働組合総評議会(総評)は、支配層の思惑と異なり、再軍備反対など平和四原則を掲げる左派社会党と手を携え、非武装中立の路線を進みました。
(4) 55年体制と高度成長と能力主義管理
朝鮮戦争を契機に急速に復活した旧支配層とその復古的改憲策動に対抗するため、 55年に左派社会党・右派社会党が合同し、自由党と民主党の保守合同も行なわれ、「55年体制」が成立しました。日本社会党は、民主的諸権利を拡充し、明文改憲を阻止した点では大きな成果を上げました。
この頃に低廉な労働力などに依拠した高度成長が始まります。自民党政権は、大部分の農協や補助金を通じて農村を保守の支持基盤とすることに成功しました。
一方、 60年の安保・三池闘争に示されたように、日米軍事同盟に反対し、労働者の安易な切り捨てを許さない気運が高まっていきました。このような中で、日本の保守勢力は「解釈改憲による自衛隊の拡大・強化」という迂回策を講じていきます。また大企業は、労働組合との労使協議制などで労働組合の取り込みをはかり、「日本的雇用」を継続しつつ、生産性向上運動と能力主義管理の拡大と徹底を推進していきます。
春闘も、高度成長下の企業内的・「物取り主義」的弱点をはらんでいました。「総評組織綱領草案」は、三池労組の合理化反対闘争などに学んでこの弱点を職場闘争・地域共闘・社会主義教育で克服しようとし、県評・地区労運動などが前進し
60年安保・三池闘争がたたかわれましたが、労働組合の企業内的体質は根強く、能力主義管理による資本の巻き返しが効を奏してゆきます。
日本社会党は国会での議席を増やし、 60年代には『日本における社会主義への道』を定め、 70年代のはじめには『国民統一の基本綱領』を策定しました。これはソ連・東欧の評価などに誤りを含むものの、平和革命と反独占の国民統一戦線を鮮明にして、世界の資本主義諸国の社会主義政党の中でもひときわ優れた路線でした。自国の軍備や軍事行動には反対できない西欧社会民主主義勢力とは異なり、日本社会党が再軍備や日米安保条約と厳しく対決して、アジア諸国をはじめ世界から高く評価された所以です。しかし労働組合依存、議員党的逆ピラミッド構造、日常活動不足は払拭できませんでした。
(5) 70年代の低成長と労働運動・日本社会党の危機
高度成長は 71年のニクソン・ショック、 73年のオイル・ショックで一気に壁にぶつかりました。アメリカは、世界中に戦略核と軍事基地を配置し、泥沼のベトナム戦争を戦い、世界中にドルを垂れ流したあげく、ドルと金との兌換停止に追い込まれました。発展途上産油国の資源ナショナリズムに基づく原油値上げは、安価な原油を前提とする大量生産・大量消費の体制に急ブレーキをかけました。
これを受けて、産業別労組と労働者諸政党が強い独仏などでは、労働者の賃金は下げず、労働時間を年間 1500〜1600時間に短縮しました。しかし日本では、民間の企業別労組が「不況は企業の危機」という財界のキャンペーンに巻き込まれて賃上げ自粛路線を深め、
80年代に入ると、次には官公労働組合に「行政改革」攻勢が仕掛けられました。総評はこれに十分に対抗できず、国家ぐるみの総攻撃となった国鉄分割・民営化という国労つぶしに対するたたかいも支えきれず、民間大手組合主導の「連合」に呑み込まれて消滅していきます。
先進資本主義国では、日本だけが年間 2000時間を超える労働時間を保ち、職場では命令と服従、組合無視が常態化しました。また中小企業と未組織労働者には、特に大きな犠牲が強いられました。官民を問わず、労働者がゆとりをもって働ける権利は奪われ、過労死すら多発しました。労働組合は弱体化し、組織率を下げました。
労組に依存していた日本社会党も、労働組合の右傾化にひきずられ、後退しました。とくに 86年の『新宣言』によって平和革命と社会主義の目標を棄て去ったことは、党崩壊の遠因となりました。
(6) プラザ合意と日本資本の変化
80年代日本の大企業は、能力主義管理の徹底で企業に忠実な「安価で良質」となった労働力を利用して、新機能を付加した製品を怒濤のように海外へ輸出し、世界市場で一人勝ちの状態となりました。それは先進資本主義国間の貿易摩擦をもたらし、「構造調整」問題が浮上してきました。
日本製品の集中豪雨的輸出を止めるため、先進資本主義国間で合意されたのが 85年のプラザ合意です。これは円高を容認し、円は1年間に1ドル= 240円から1ドル=
120円へ2倍に急騰しました。円高では、日本製の輸出品の価格が海外市場で上昇することを意味します。このため日本の企業は、徹底的な賃金抑制と人減らし合理化、さらにME技術革新を推進して生産性向上をはかるとともに、海外への直接投資を急増させ、また海外での社債発行などで海外に生産拠点を築くという新たな行動を展開し、本格的な多国籍企業へと変質を遂げました。
(7) バブル経済と崩壊
プラザ合意は、国内でバブル経済を発生させる要因ともなりました。円高を容認した日本政府は、輸出後退への対策として、公定歩合を大幅に下げて民間の設備投資をあおり、大規模公共事業の拡大で産業を刺激するなどの不況対策をとりました。
過剰設備をかかえて新たな投資先の少ない日本に、円高を見込んだ海外の投機資金も流れ込みました。これらの過剰資金は土地、株式などに殺到し、資産価格が急騰しました。
このバブルの収束のために政府がとった資金の総量規制は、しかし熱した鉄塊を氷水に突っ込むに等しく、資産価格を急落させ、日本経済に不良債権という大きな傷跡を残し、その後の長期不況を増幅させました。
政府はあわてて、金融機関や大企業の救済に税金を大量投入し、不況対策としても国債を乱発し、発行残高は累増して、国債費は歳出の4分の1にも達しました。この財政危機のツケも、消費税の導入と引き上げ、福祉の切り捨て、医療費値上げなどによって庶民に押しつけられています。
長期に続く超低金利政策は、ささやかな金利をすら庶民から奪い、金融機関と大企業に巨額の利益をもたらし、他方では法人税の優遇など不公平税制は拡大して、貧富の格差は大きくなる一方です。
(8) 日本社会党の崩壊と憲法の危機
バブルで庶民を犠牲にし、消費税を導入し、農業を切り捨て、しかも利権と汚職にまみれた自民党政治への怒りは高まりました。
この結果、 89年参院選では消費税反対の日本社会党が、 70年代後半以降の後退から一転して躍進し、自民党内閣は次々に交替し、政局は不安定化しました。膨大な財政赤字と不良債権と過剰資本をかかえ、多国籍企業間の大競争の激化に対応するため、財界は「構造改革」を死活の課題としました。
そのための政治体制再編成の突破口としたのが小選挙区制導入です。旧中間層も対象とした利益誘導型の保守の集票構造を改編し、少数意見を排除して、「国家意思の敏速な決定と執行」をめざすとともに、労働者の政党を解体・吸収しようとするものでした。それは「55年体制」の解体を意味しました。
基本路線を棄てた日本社会党は、保守政党との間の垣根が低くなり、指導部は保守大連合に引き込まれていきました。
財界は自民党を分裂までさせ、 93年に非自民の細川連立政権を樹立させました。対抗すべき日本社会党は、財界と保守勢力、マスコミに大労組幹部まで加わった「政治改革」の大合唱に屈し、細川連立内閣への入閣と引き換えに小選挙区制を容認してしまいました。
94年に細川内閣が倒壊すると、日本社会党は村山自社さ連立内閣で自民党の政権復帰を許し、安保条約「堅持」、自衛隊合憲、消費税増税へと変節、財界と保守勢力を驚喜させました。村山内閣には、当初、よりましな政策の期待も寄せられましたが、保守政党の基盤に支えられた連立内閣では、失うもののあまりにも大きい結果となりました。
変節に強く反対した日本社会党の5人の国会議員と全国の仲間が 96年に新社会党を旗揚げしました。
しかし財界、保守勢力、大労組幹部は手をゆるめず、日本社会党が名を変えた社会民主党から多数の国会議員を引き剥がし、新保守の民主党に合流させました。残った社会民主党は、橋本・自社さ内閣でも、新ガイドラインや介護保険制度、公費での金融機関救済、独禁法改悪、労基法改悪などに賛成し、これを推進しました。
こうして財界と保守勢力は、日本の政治・経済・社会の大転換を進め、国会は翼賛国会と化し、憲法を公然と踏みにじる悪法が大量に成立する事態となりました。日本社会党の解体にむけ大労組が公然と圧力をかけたことは、諸国の労働者党にも例をみませんが、日本社会党の自滅は、党が主体性と民主主義的精神に欠けていたことや、労組依存体質が強く、市民運動との連携が弱かったことなどにもよっており、私たち自身の反省点でもあります。
第2章 私たちが勝利できる条件−現代の階級関係と成長するたたかい
1.資本家階級と巨大企業の支配構造
(1) 巨大企業と政・財・官の権力構造
現代日本の政治と経済を支配しているのは、巨大企業を頂点とし主柱とする「財界」です。資本の集積・集中が進み、有業者人口の0.1%にも満たない大企業経営者と大株主からなる大資本家階級が、主要な銀行や生産手段などを独占的に支配・管理しています。
資本金10億円以上の大企業約5千社が、240万社以上もの中小企業を資本関係や取引関係で支配する構造をつくりあげ、利益を吸い上げる仕組みを維持してきました。その人脈、金脈は各界に支配の網の目となって張りめぐらされ、政治的代理人である保守政治勢力と、行政的代理人である高級官僚群との間に「鉄の三角形」を形成しています。
大企業の利害や要求に忠実な高級官僚の多くは、「天下り」によって財界に入ったり保守政党議員に転身しています。また保守政治家は、企業献金や企業の組織選挙に頼り、その利権を手放そうとはしません。さらに財界の影響力、支配力は、司法界、言論界、学者にも及んでいます。
(2) 大競争に勝ち抜く大国へ、「戦争できる国家」へ
巨大企業は急速に「多国籍資本」と化し、経済的・政治的・軍事的な国際社会への影響力拡大の戦略を練っています。経済的には、「大競争」に日本資本が勝ち抜く環境づくりです。サミットやIMF体制、WTO体制によって開発途上国には資本・貿易の市場開放を押しつけ、そのためには国内の農業や中小企業も犠牲にしています。アジアでの経済権益の安定的確保のため、ドルとならぶ円通貨圏も展望しています。
政治的には、「グローバルな責任を担う意思と能力」を掲げ、国連安保理の常任理事国入りを執拗に要求し、「国際社会への軍事的貢献」も進めやすくするためです。
軍事的には、新ガイドラインで日米軍事同盟を一層強化し、アメリカと協力してアジア・太平洋諸国を抑え込み、権益を拡大しようとしています。また、国連や米軍の軍事行動への参加拡大を通じ、自衛隊派兵の実績積み上げと海外展開能力の増強もはかっています。
そのため朝鮮民主主義人民共和国を「仮想敵」とし、「朝鮮有事」を想定した作戦体制も強化しています。長期的には、中国「抑止」やシーレーン確保など、アジア・太平洋地域への軍事介入という戦略があることは明らかです。
現代の帝国主義は、資源保有国や多国籍企業の意にそわない諸国に対して、共同していつでも軍事介入できる体制を築こうとしているのです。また日本は、将来的な核保有の選択肢も確保しています。
(3) 多国籍大資本の利益優遇・福祉切捨ての国家
「公共事業」は大企業の利益の大きな源泉の一つであり、日本の公共事業費は先進国でも異常な規模になってきました。福祉や教育や環境のためでなく、それらを抑制したり破壊するダムや大規模干拓や自動車道や空港や原発など、巨大開発型の公共事業が進められてきました。
一方、日本の支配層は、介護・医療・年金など社会保障の全分野で国の責務を放棄し、「自立・自助」を強調して次々に民間資本に委ねようとしています。年金の商品化のように老後資金も金融市場で利用し、税制でも、富める者から貧しい者への所得再配分機能を逆転し、法人税への優遇措置も拡大しています。
増大しつづける国と地方の累積債務のツケは現在も次代でも結局、貧しい者に転嫁されます。消費税を大幅に引き上げ、すべての財源を巨大企業のために総動員しようとしています。
多国籍化した大資本は、海外市場でも途上国の低賃金労働力や特恵税制、ODA(政府開発援助)などを最大限に利用してきました。巨大商社、大手金融機関、ゼネコンなどは現地の特権階級と癒着し、国際市場を分割支配したり操作したりしてきました。軍事も大きな利潤の源泉になっています。
日本の軍事費はアメリカに次ぐ規模になり、大企業が軍事費を独占して、冷戦後も軍備増強や地域紛争への軍事介入政策を要求し、軍縮や紛争の話し合いによる平和的解決を妨害してきました。憲法9条等の改悪によって利益を得るのは、このような巨大多国籍資本だけです。
(4) 保守基盤の分解と連立政権
一方では、中小企業や農民の解体や地位の低下にともなって「自民党一党政治」の支持基盤が細ってきているため、細川政権以降は中間的な諸政党をまきこんで連立政権の形で政権を維持しています。
さらに近年、新自由主義の強引な推進の結果、切り捨てられた中小企業や農民や労働者は記録的な倒産、失業の渕に投げ込まれています。また中国等への工場移転によって、国内産業の空洞化が急速に進行しています。
大資本の支配も、このように、多国籍資本と国内経済との矛盾の拡大によって自ら足元を掘り崩しつつあり、私たちの運動しだいでは彼らを孤立化させうる条件を広げています。
他方、庶民の政治的怒りが表面化せぬよう、行政権力機構では、地方自治体には最低限の許認可権限は委譲しながらも中央権力は強化し、道州制の導入をも視野に入れた中央集権的な国家機構再編、自治体再編も着々と進めています。
国会の選挙制度の改悪など、民衆の意思を政治からますます排除し、民主主義を切り縮めつつあります。企業内統合の弱体化と経済のグローバル化のもとで、「日の丸・君が代」を法制化して強制し、新たに国家主義、国家意識への「国民統合」をはかり、天皇制イデオロギーも強制しています。
(5) そして憲法改悪が日程に
保守勢力と財界は、このような政治に対して当然強まる民衆の不満と反抗を抑えこむため、国民総背番号制や盗聴法、団体規制法を制定して国民への監視・管理体制を作りあげようとしています。
教育制度の規制緩和をほぼ仕上げた財界・政府・教育行政は、意にそわぬものを「問題児童」、「指導力不足・不適格教師」などとして排除・追放をすすめるとともに、教育基本法の改悪作業に着手し、国家主義と戦争体制に教育を総動員しようとしています。
「テロ対策特措法」、「改正自衛隊法」と有事立法は、「周辺事態」ばかりか全世界での自衛隊の戦争加担を完成させるとともに、「有事」「緊急事態」「テロ対策」などを口実に自衛隊が日本国内の民衆を抑圧する体制を一層強めます。これらの行き着く先は国際国家対応型の装いをこらした憲法改悪にほかなりません。
2.8割を超えた労働者階級
(1) 日本の労働者階級とその弱点
労働者階級は、富の生産をはじめ、社会に必要な労働の大部分を担う階級であり、社会の維持・発展を担う主要な階級であり、共同戦線と連合政府や、さらには搾取と失業のない新しい社会を実現する力となる主要な階級です。
いまや日本の労働者は6千万人に迫り、有業者人口の8割を超え、量的にも圧倒的多数をもって主要な階級となっています。階層分化が進み、異なった意識を植え付けられていますが、資本に搾取され抑圧され、過労と失業のなかに投げ込まれている点では、同一の労働者階級です。たたかいを通じ、階級意識を高めることがきわめて重要です。
なお完全失業率は5%を超え、増加傾向にあるばかりでなく、大量の短時間労働者、就業活動自体をあきらめている労働者など実質的失業者はその数倍に達しています。
しかし労働者の組織率は 20%程度と極めて低い水準になり、圧倒的多数の労働者が未組織の状態におかれています。しかも労働組合の多くは、企業や当局との協調関係をつよめ、政治的にも保守諸党との支持協力関係に傾斜してきました。
日本の労働組合は、「企業別組合」すなわち企業の正社員労働者を構成員としていることが特徴です。このため「会社あっての労働組合」、「会社あっての労働者」という意識に陥りやすい弱点をもっており、戦後労働運動の中でもその弱点が露呈してきました。
官民大手の正社員労働者は、職場のパート労働者や、下請け企業とその労働者に対する「管理者」の意識さえ持たされるようになり、企業や産業あるいは国境・国籍を越えた労働者の団結と組織化をはばんできました。
(2) 「連合」と労働者の地位の不安定化
「大統一」を呼号した連合は、国家ぐるみの産業再編攻撃に対抗できないどころか、日本社会党の解体と民主党の支援、平和と民主主義と人権のための政治闘争からの大幅な撤退、地区労運動の解体など、労働運動の後退と実質的解体を推進してきました。能力主義・成果主義賃金制度の受け入れで労働者の団結が破壊され、実質賃金の低下を招いた結果、組織人員も減少の一途をたどり、「民主主義は企業の門前で立ち止まる」実態となっています。
職場では労働の強化が進み、健康破壊や過労死や自殺が多発するにいたりました。女性労働者は、雇用機会均等法の成立にもかかわらずパートなど不安定雇用に多数が追いやられ、景気の安全弁に利用されてきました。
雇用・賃金・待遇の男女不平等はごく一部を除いてむしろ拡大しています。資本による労働力流動化は、従来の「日本的雇用」を土台とする「労使協調体制」を不安定化させています。資本の「下士官」的意識をもたされる労働者層は一部にしぼられ、大企業本工の多くも不安定雇用に切りかえられ、管理職のなかからすら労働組合運動がひろがっています。
(3) 労働者のたたかいの発展の芽
こうした労働者の企業内統合支配の大転換は、企業横断的な労働者連帯の客観的な条件となります。しかし長年、労働運動が企業別に分断されてきた日本では、資本の攻撃が強まるほどに労働組合が企業主義に閉じこもりがちです。そういうなかで、労働者の階級的な連帯を形成するには労働者政党をはじめとする企業から自立した勢力による意識的・長期的な助力がとりわけ重要です。国家的不当労働行為とたたかう国鉄闘争、不当解雇とたたかう争議団、資本主義的合理化に反対して人間らしく働き続ける職場条件を勝ち取るたたかい、企業内組合の意識を払拭するたたかい、非人間的な「使い捨て」リストラに職場と地域で抵抗する労働者の連帯、地域ユニオンによる不安定雇用労働者の組織化、外国人労働者との連帯、住民運動との連携、市民運動との共同行動等が各地で取り組まれ、あるいは芽生えています。
また教育や自治体、交運などをはじめ、労働組合の中に、職場・地域・県レベルでのたたかう組織づくりや産別の階級的統一闘争を再建する努力も続いています。
これらをいっそう発展させ、労働運動が企業から自立し、就業者と失業者との階級的連帯もめざし、生活を守り憲法改悪を阻止するという「原点」に返り、それを通じて階級的で民主的なナショナルセンターが確立されなければなりません。
私たちはその先頭に立ち、労働運動が職場の団結から企業を越えた運動へと発展するよう精神的影響力を拡大・強化します。
(4) ますます増える年金生活者もたたかいへ
まもなく1千万人にのぼる年金生活者の多くは、額に汗して働いてきた労働者にほかなりません。この人びとは、失業、再就職の困難、消費税の引き上げ、年金や医療の改悪、低金利政策、悪しき介護保険制度などによって、人間らしい生活を営む権利を奪われています。
またこの世代の多くは、あのいまわしい戦争の直接・間接の体験者でもあり、憲法を踏みにじって生活と平和を破壊する道に対して強い批判と危惧の念をもっています。
私たちは、年金生活者・高齢者が自らたたかうことのできる組織づくりに協力し共同しつつ、高齢者が安心して暮らせる生活保障の先頭に立ってたたかいます。
3.農民、漁民と小経営者
(1) 農漁民と小経営者
自然の生態系に直接に働きかけ、その中から社会全体の食料や原材料を生産し供給する農漁民も、働く者の一員です。
したがって農漁民は、人びとが十分かつ安全な食料などを得るためにも、また人類の生存に不可欠な、良好な生態系を維持するためにも、重要な役割を担っています。
しかし農民や漁民は家族従業者も含めて急激に減少し、有業者人口の約5%となっています。ほとんどが自営業で、その多くが兼業農家です。農漁民が大企業から購入する原材料や機械は高価なのに、農産物の価格は安く抑えられています。
多国籍企業の利益のために農産物の輸入が自由化され、農林業が破壊されて、環境破壊と災害の多発を招いています。多国籍企業による種子の独占や遺伝子組替え作物、合成化合物の大量使用などは、新たな食料・農業支配と安全性の危機をもたらしています。
小経営者もまた働く者の一員です。農林水産業以外の個人業主とその家族従業者、および従業員数が 49人以下の小企業の有給役員は、有業者人口の 13%ほどです。
親企業の海外移転や大店舗の進出などで小経営者の生活はさらに不安定になり、経営の存続さえも困難になっています。小経営の破壊は地域の文化や生活と地場産業の破壊につながっています。
(2) 新しい農漁業、小経営の自立的発展の試み
かつては自民党の票田対策だった農漁業や小経営の「保護政策」も、大企業中心の国際的「大競争」路線・新自由主義政策のために次々にはぎとられ、農漁民や小経営者は自らを守るためにはたたかわざるをえなくなっています。
そこで、地域づくりの観点から、また消費者との連携の立場から、さらには自然環境との共生の視点から、あるいは小経営がつちかった技術や歴史を生かし地域文化を育むために、さまざまなグループや個人の自立的な試みと運動や創造的な協同、協力が各地で進んでおり、新しい可能性を開きつつあります。
私たちは、農民・漁民と小経営者の安定した経営と生活を実現するためにも、安全で新鮮な食料の生産や地域社会の活性化と文化の振興のためにも、協同・協力の取り組みを推進します。
4.社会的差別を受ける人びと
(1) 重層的な差別を組み込んだ社会
女性は、男性優位の旧習と伝統から解放されておらず、社会的な活動でも企業の賃金・待遇でも差別が続いています。
差別支配の巧妙さにおいて類をみない被差別部落の人びとに対する社会的、経済的差別もいまだ解消されておらず、勤労市民の搾取と分裂支配を容易にする機能を果たしています。
障害者は効率主義の犠牲にされて人間らしい生活から排除され、心身に傷ついた多くの人びとが新たに生み出されています。
かつての植民地支配に根ざす約 65万人の在日韓国・朝鮮人に対する差別や迫害も続いています。
このような多くの差別構造と優勝劣敗、弱肉強食の政策は、大人の社会だけでなく、子供たちにもひずみと重圧をもたらし、差別と人権侵害の悪循環を生み出しています。資本主義社会が高度化、複雑化すればするほど新たな差別も生まれ、また貧富の格差が広がって差別も深刻化しています。
(2) あらゆる差別を越える連帯へ
しかしこの状況は、逆に「あらゆる差別の撤廃を」という運動の基盤を広げ、多様な差別とのたたかいの連携・連帯の可能性も開いています。さらにその運動は、国際的な運動となり、諸条約の批准や国内法の改正、国境や分野を越えた人びとの交流と相互理解の発展へと進んでいます。
とくにNGOの果たす役割は大きく、いくつかの分野では国際政治でも無視できない力になりつつあります。平和や人権、民主主義などの政治的課題に対する市民運動も、個人の自主性と創意に基づいて展開されています。
こうした運動は、反面で政党や労働運動の力量不足、認識不足をも示してきました。私たちは、市民・地域住民運動のもつ価値観を共有し、連帯と共同を進めます。
5.政治勢力
(1) 総保守の「分化」と改憲路線での合流
自民党は大資本の利害を代表してきた保守政党です。その役割を忠実に果たすことによって、大企業の支配力を強め、またその支配力によって中小企業や農漁民などを政治的支持基盤とすることに成功してきました。
しかし、日本の大企業が多国籍企業化して、国際的権益が拡大し、また新たな国家的再編が大企業の戦略的課題となるにつれ、さらに労働運動や日本社会党の弱体化・解体に成功するにつれ、保守勢力の新たな分派が結成、育成されることになりました。
自由党や民主党などがそれです。自由党はより精鋭な国家主義、大国主義の分派ですが、保守党は自民党との連立政権に固執するさらなる分派です。
民主党は大企業や新保守層と連合・大企業労組を支持基盤としていますが、「市民主義」を装いながら基本的には「新自由主義」の路線を走る新保守主義の政党です。
自民党、民主党、自由党などの新旧の保守勢力は、新自由主義と新国家主義で基本的に大きな差は見られず、いずれも明文改憲に収斂しつつあります。
主に小経営者や未組織労働者に依拠する公明党は、支持基盤を反映して動揺を繰り返していますが、宗教による政治支配をめざす創価学会と強く結ばれており、近年、与党志向が強い保守政党として行動し、憲法見直しを是としています。
(2) 憲法改悪阻止での共同
沖縄社会大衆党は、沖縄の人びとの切実な願いをもっとも良く代表し、軍事基地の縮小・撤去、日米安保条約の解消など、中期的な基本政策において私たちと一致しています。
社会民主党は、旧総評系労働組合の一部などが支持基盤ですが、組合の指導部は民主党や自民党・自由党などとも結び、勢力の衰退と不安定化が進んでいます。社会主義の目標をもたないばかりか、日米安保条約・自衛隊・消費税などを容認し、小選挙区制や介護の保険化推進などの重大な過ちを反省していません。
日本共産党は、「二つの敵」論を基本にして、「国旗・国歌」の法制化を認め、連合政府における日米安保条約問題の凍結を打ち出し、有事などでの自衛隊の活用を認めるなど、誤った「右ウィング論」で保守勢力につけこまれ、運動に混乱を生じさせています。また党の利益を階級全体の利益や大衆闘争や少数者の人権よりも上に置く体質を持っています。
しかし社民・共産両党とも明文改憲には反対し、憲法違反や人々の生活と権利を侵害するいくつかの課題にも反対の立場をとっていることを評価して、私たちは憲法改悪阻止闘争において、また実質的な憲法改悪につながる諸運動において、沖縄社大党はもとより、社民、共産両党なども含む広範な労働者・市民を結集した共同戦線を組みます。民主党の良心派にもその門は開かれています。
広範な共同戦線を成功させ、それをさらに発展させるためには、21世紀の新社会党が大きくなりながら要の任務につく以外にありません。 |
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