イラクに何が残されたか?  新たな植民地化

『週刊 新社会』 2009年8月11日号より


 6月30日、 「イラクにおける米軍地位協定」に基づいて米軍はイラク都市部から撤退、157の基地、3600キロメートルの国境地帯に設けられた700の検問所、内陸部の市町村に移動、13万2000人が今後2011年まで駐留する。

 しかし、米憲法で上院出席議員の3分の2の賛成を得なければならないと規定された条約ではなく、「合意」なので要請があれば都市部に戻り、駐留の長期化もありうる。

 米兵士は、無実の市民を殺傷してもイラク国内法からは免責されている。ゲーツ国防長官は11年以降もイラク空域を使用すると公言し、レイ・オディアーノ最高司令官は「中東における米国の長期的パートナー」と見ている。

 オバマ政権は占領状態を行政的に継続する意向で、イラクにNATO軍、軍事顧問、法執行官、建設労働者をそのまま残す。

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 在バグダッド米大使館は7億4000万ドルをかけてブッシュ時代に建設され、専用の発電・浄水施設、通信インフラを備え、現在1000人以上の行政官が勤務、世界最大規模を誇る。

 占領開始以来、大使館はイラク行政機構全域で直接的、間接的に施政権に関与し、議会内の派閥対立も調停した。

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 産油国であるにもかかわらず、イラク政府は石油収入を管理できない。収入は「イラク開発基金」により、ニューヨーク連邦準備銀行に供託され、支出は国運制裁による「国際勧告・モニター委員会」の監視下にある。

 石油労働者の抵抗を抑えつけ、国営石油会社2社の経営権は国際石油企業へ移転し続けている。外資が油田探査、採掘から販売までできるよう、米政府はマリキ政権に石油法施行を促している。イラクは誰のための国か?(富山)