イエメンの内紛  中東戦争の火種となるか

『週刊 新社会』 2009年11月24日号より


 アラビア半島南部に位置し、アデン湾、紅海に囲まれ、ソマリア、ジブチ、エリトリアを隣国とする国、イエメンで内紛が続いている。

 サウジアラビアと国境を接する北部サアダ州の2000メートル級の山岳地帯でホウティと呼ばれるザイド派(シーア派に属す)反政府部族勢力が2004年以来、政府の腐敗と差別に反対すると主張して治安当局との間で大規模な武力衝突を起こし、これまでに数千人の犠牲者を出している。

 サウジアラビアとの国境地帯は過酷な砂漠気候のため無人地帯で、行政力が及ばず、国境線画定は00年6月にされた。

 サウジアラビア政府はイエメン政府側について、この勢力の拠点に空爆を行っている。07年と08年に和平合意がなされたが、実行されていない。政府はイランの影響を誓戒しているが、他の外国勢力も介入していると見られている。

       ★

 同国は20世紀中ごろまで部族社会が続いたが、1967年に英領だった南部が独立し、イエメン民主人民共和国の名称で社会主義を掲げた。90年に統一された。

 現アリ・アブドラ・サーレハ大統領が78年以来、旧北イエメンでの就任から今日まで引き続き大統領職に就き、06年の選挙では7割以上の信任を得た。石油が輸出の9割、財政収入の6割を占めながらも生産は低下、枯渇の可能性も指摘されている。一方、現政権は構造改革を進めているため国民の不満は高い。

       ★

 イエメンでは外国人が誘拐されたり、観光客が殺害される事件も起きている。00年10月にはアデン港で米戦艦コール襲撃事件も起きた。さらに南部では分離主義の動きが広がっている。

 また、ソマリアの海賊対策名目で沿岸部には外国艦船が頻繁に航行している。(富山)