新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 今週の新社会
  4. 2016.12.13
 
年金カット法
老後を破壊
2016年12月13日



 

  少子高齢社会のツケを受給者に


 政府・与党は11月29日の衆院本会議で今国会の焦点である「年金制度改革法案」を与党と維新の賛成多数で可決。同法案の成立を図るため11月30日までの会期を12月14日まで延長した。これに対し野党4党は「年金カット法案」成立阻止へ徹底抗戦の構えだ。年金制度の攻防は、少子高齢社会で社会保障の根本に係るものであり、「納める側と、受け取る側」の土俵で収支バランスを図る限り、問題は山積のままだ。


 「100年安心」


 1961年に国民皆年金制度が整備されて半世紀が経過した。85年には制度改革が行われ、基礎年金に加え報酬比例部分を年金に上乗せする2階建ての制度となった。
 1階部分は20歳から60歳まで全員加入とし、制度は基本的には「賦課方式」で設計され、現役世代が支払った保険料が、高齢者の年金受給者の支払の原資になり、これが老後保障の基本サイクルとして運用されてきた。しかし、制度発足から55年、人口構成も就労構造も変化し、今や世界で第2位の「少子高齢社会」となった。
 自公政権は2004年に「年金100年安心プラン」を決め、年金給付水準の自動調整を図るシステムを導入した。しかし、「プラン」は実態と乖離し、今回の「年金改革法案」の提案となった。


 賃金と給付が連動


 政府の法案は2本。
 「年金改革法案」は@従業員500人以下の企業でも労使合意があれば短時間労働者の厚生年金加入を可能にするA国民年金に加入している女性は出産前後の4カ月間は保険料を免除B「マクロ経済スライド」により18年度からデフレ下で見送った分を翌年度以降に繰り越し、景気が回復した局面でまとめて給付抑制するC年金積立金管理運用独立行政法人に「経営委員会」を17年に新設し、重要事項を合議制で決める。
 また、「受給資格短縮法案」は無年金対策として、受給資格期間を25年から10年に短縮するもの。2法案で特に議論が集中しているのが改革法案Bの「年金額の改定」だ。
 政府は「少子高齢化での現役世代の負担軽減のための改革」とするが、「マクロ経済スライド」は物価や賃金の伸びよりも給付を低く抑えるため、18年度からデフレ下で見送った分を翌年度以降に繰り越し、まとめて給付抑制することになる。
 また21年度からは「賃金変動が物価変動を下回る場合に賃金変動に合わせて年金額を改定する」とし、物価が上がって賃金が下がった場合、または物価より賃金の下げ幅が大きい場合は年金受給額が減る。これまでの年金給付額は、物価が上がり賃金が下がった場合は据え置き、物価より賃金の下げ幅が大きい場合は引き下げてきた。だから民進党をはじめ野党各党(維新を除く)は「年金カット法案」と呼び、こぞって反対している。 少子高齢社会は、賃金や労働条件が劣悪で結婚できない、結婚しても子育てしにくい、ブラック企業が当たり前の社会が元凶だ。
 

 財源の見直しこそ


 年金など社会保障の財源は、現役就労世代が少ない賃金から年金保険料を支払うシステムの改革と、国の政策の抜本的な転換で解決することができる。
 例えば、福島第一原発の損害賠償・廃炉費用は2倍の20兆円に膨らみ、不要で危険な高速増殖炉「もんじゅ」は1兆6000億円も使い、廃炉費用は3000億円だ。
 財務省は15年度の企業「内部留保」は377兆円を超え過去最高と発表したが、設備投資や賃上げに回らず、雇用拡大や賃金に反映しない。大手10社には「輸出戻し税」が1兆円。軍事費は5兆1000億円、米軍駐留負担経費7600億円で、さらに膨張基調だ。今年の予算でリニア中央新幹線への1兆5000億円財政投融資を決定している。
 この現実を脇に置いて従来の枠での年金議論は、高齢者に年金をはじめとした社会保障費の減額を強いる政策にならざるをえない。



 
 ↑上にもどる
一覧へ
TOPへ