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厚木基地爆音訴訟
住民が逆転敗訴
2016年12月20日



 

  最高裁

  自衛隊機の差止め認めず

  人権救済を放棄



 「ひどい判決だ。住民の苦しみをなんと思っているんだ」、12月8日午後3時半、東京・隼町の最高裁正門前で待ち受けていた第四次厚木基地爆音訴訟の原告らから悲痛な声が上がった。弁護士が掲げるビラには「将来請求認めず」「自衛隊機差止め逆転不当判決」「最高裁 被害救済を放棄」とある。
 米海軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)の爆音被害に苦しめられている周辺8市の住民7000人が国を相手に起こした第四次厚木基地騒音訴訟で最高裁第一小法廷(小池裕裁判長)は、夜間・早朝の自衛隊機の飛行差止めを命じた二審判決を「自衛隊機の運航には、高度の公共性と公益性がある」と破棄した。
 同様に、二審判決が認めた「将来分」の騒音被害の損害賠償も認めず、過去分の約82億円にとどめた。住民側の逆転敗訴だ。被害の最も大きな原因で住民が悲願とする米軍機の差止めは、一、二審同様に「米軍には日本の司法権は及ばない」と門前払いした。いずれも裁判官5人全員一致の判決である。
 基地爆音訴訟の差止め請求では、「民事訴訟では不適切」(1993年、最高裁)として退けられてきたが、04年の法改正で「国の行為で健康被害など重大な損害が予想される場合は差止め請求できる」と明文化され、今回の訴訟は民事に加え、国の権限行使(自衛隊機の飛行)の妥当性を問う行政訴訟も提起した初のケース。昨年7月の二審判決は、自衛隊機の夜間・早朝飛行差止めと、将来分の損害賠償を認め、被害救済の幅を広げた。
 自衛隊機差止めは一審、二審とも裁判官が現地に行って爆音を体感し、原告らの声を聞いて出した結論。「最高裁は安易に、これらの結論を覆した」(原告、弁護団の抗議声明)。
 判決は、健康被害について爆音による精神的苦痛を継続的に受けており、「睡眠妨害の程度は深刻で軽視できない」とする一方、自衛隊機について夜間・早朝飛行の自主規制が取られ、住宅防音工事への助成など対策が講じられているとした。
 「国の賠償責任は認めるが、一定の対策は取られており、過去分の賠償を支払わせるので米軍機や自衛隊機の飛行はそのまま継続」と言うのだ。一部の地域に負担を強い、小手先の対策で被害を放置し、訴えがあれば過去分の賠償金で収める従来の手法だ。住民は、防音工事など対策が効果を上げていないから飛行差止めを求めており、金銭を求めているのではない。人権の砦(とりで)であるべき司法が責務を放棄したと言わざるを得ない。 第一次の提訴は1976年、40年が経過した。最高裁が10月31日に弁論を開いたことで予測された判決であり、原告団の金子豊貴男団長は報告集会で「闘いが足りない。もっと闘えということ」と述べ、第五次訴訟へ強い決意を表明した。
 基地騒音を巡る訴訟は、横田(東京)、小松(石川)、岩国(山口)、沖縄の嘉手納、普天間でも続いており、今回の最高裁判決が与える影響は決定的だが、厚木の第五次訴訟に向けた決意が示すように、「静かな夜 平和な空」を求める闘いは続く。



 
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