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施政方針演説
黄昏の安倍政治


 昨秋の臨時国会開会を拒否した安倍政権は通常国会開会から2週間余が経った1月22日、満を持して首相の施政方針演説を行った。多弱な野党を「ただ反対を唱え無責任」とこきおろし、「世界の中心で輝く日本」へ挑戦を続ける頼もしい安倍政権の姿を国民に印象付ける機会となるはずだった。だが、年明け以来の「円高・株安・原油安」が長期化する気配を見せてアベノミクス神話に不吉な影を落としている。さらにはTPP交渉を主導し、経済再生へアベノミクスを支えてきた主要閣僚の甘利明経済再生相の収賄疑惑が『週刊文春』にすっぱ抜かれた。甘利大臣は辞任必至の局面に追い詰められ、安倍政権が最大の危機を迎えた中での施政方針演説だった。


 甘利疑惑の露見によって安倍演説は一瞬にして色褪せた。戦争国家に踏み出しながら内閣支持率は40%超と安定的に推移してきたが、国民は政権そのもののいかがわしさを嗅ぎ取ったからだ。
 安倍演説はこの3年間の実績を誇示し、ぶれることなくこの道をまっすぐ進むと力説した。キーワードは「挑戦」。安倍政権の生命維持装置であるアベノミクスのアクセルを踏み、イノベーション型の経済成長への挑戦を政策の主題にした。その上で、5月開催の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)→参院選で改憲発議に必要な3分の2議席確保↓憲法改正国民投票を見据える演説であった。
 当面する挑戦課題は「地方創生への挑戦」「1億総活躍への挑戦」「より良い世界への挑戦(外交・安保)」の3つ。「挑戦の終りは新たな挑戦の始まり」(『下町ロケット』)なのだ。では、3年間の実績とやらをみてみよう。


 @TPPの誕生により農林水産物の輸出額は昨年7000億円規模に達し、過去最高を3年連続で更新した、
 A攻めの農政の下の新規就農者が年間2万人を超え、この8年間で最も多くなった、
 B被災地復興は来年春までに計画の85%に当たる2万5000戸の災害公営住宅が完成し、高台移転も7割で工事が完了する見込み、Cアベノミクスによって来年度の地方税収は政権交代前から5兆円以上増加し過去最高となった、
 D外国人観光客は3年連続で過去最高を更新し、政権交代前の2倍以上、1900万人を超えた、
 E沖縄・石垣港を訪れる大型クルーズ船はこの3年で2倍近く増え、免税店の数は3倍、3万店に増えた、
 Fアベノミクスの果実として名目GDPは28兆円に増え、国民総所得は40兆円近く増えた、
 G来年度予算の税収は15兆円増え、基礎的財政収支の赤字は政権交代前の半分以下、10兆円余りまで減った、
 H中小企業の倒産は政権交代前と比べて2割減り、一昨年、24年ぶりに1万件を下回った、
 I雇用は110万人以上増え、有効求人倍率は政権交代前より5割上昇した、
 J昨年7、8、9月、企業の設備投資は1年前と比べ11%以上伸びた、
 Kこの3年間で63の国・地域を訪問し、首脳会談は400回を超えた。
 
 私たちは安倍首相の自慢話に騙されてはならない。政権復帰3年間の実績のすべてが設備投資拡大を中心にした環境整備に費やされたこと。だから、安倍政治は財界・大企業の利益代弁政治であることを裏書きしたようなものだ。
 TPPを「国家百年の計」とし、攻めの農政に転じるチャンスとみて税制上の誘導策を施すというが、TPPは農漁業、中小企業、地方を直撃するのは目に見えている。
 1億総活躍の労働・女性、高齢者、介護政策にしても、いかに低賃金労働力を確保するかに主眼が置かれている。若者には産めよ、殖やせよ、高齢者には死ぬまで働けと奨励するための弥縫策がずらりと並ぶ。
 その集約がGDP600兆円の実現。「成長と分配の好循環」を謳い文句に、昨年を上回る賃上げ、最賃1000円・年率3%引き上げなど、労働政策をアベノミクスに従属させるが、肝心の成長戦略の土台が「円高・株安・原油安・アジア経済の失速・米国の利上げ」でもろくも崩れた。
 安倍政治の最悪の落とし子は、日米同盟を「希望の同盟」と再定義し、日本の重武装化と戦争国家へ踏み込んだことだ。その先に「憲法改正」が待ち受けている。
 昨年の施政方針演説(15年2月12日)は「憲法改定に向け、国民的論議を深めていこう」のレベルに止めていたが、今回の演説では「国民から負託を受けた、私たち国会議員は、正々堂々と議論し、逃げることなく答えを出していく」と踏み込んだ。明らかに衆参両院での改憲発議を意識した演説だ。
 安倍演説を機に戦争法廃止!安倍改憲を許すな!安倍政権打倒!の闘いが新たな段階に入った。


 
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