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甘利経再相辞任
それでも「品格」「美学」


 安倍政権の屋台骨、アベノミクスの司令塔と自他ともに認めてきた甘利明前経済再生相の金銭疑惑を暴露した『週刊文春』第2弾が発売された1月28日、甘利氏はもはや逃げ切れないと観念し閣僚を辞任した。第2次安倍政権で4人目の閣僚辞任、しかも後任が「最後は金目でしょ」発言で原発事故被災地を愚弄した石原伸晃元環境相とあって、人材は枯渇、政権も末期であることを広く印象付けた。甘利辞任は安倍政治の終わりの始まりだ。
 『週刊文春』1月28日号と2月4日号で贈収賄の一部始終を暴かれ、逃げも隠れもできない窮地に追い詰められた甘利氏。安倍首相は「重要な職務に引き続き邁進してもらいたい」とエールを送り、高村正彦自民党副総裁らは「罠を仕掛けられた感がある」と逆襲を試みたが、背(政権維持)に腹(甘利辞任)は代えられなかった。
 安倍首相は「任命責任は私にある。こうした事態になったことについて国民の皆様にお詫び申し上げたい」と反発を恐れて謝罪したが、疑惑の追及はこれから始まる。
 第一次から安倍政権の中枢を担ってきた甘利氏の職務とは?
 甘利氏自身の説明を辞任会見にみよう。
 「私はアベノミクスの司令塔として、安倍総理より日本経済のかじ取りを任され、この3年間、国務に命がけで取り組んできた。デフレの脱却、経済再生と財政健全化の二兎の追求、成長戦略の実行実現、社会保障・税の一体改革の推進、そしてTPPの推進など、不眠不休で取り組んできた」。要するに「世界で企業が一番活躍しやすい国」づくりの司令塔を自慢する甘利氏。その庶民感覚とのズレが疑惑を生んだ。


 辞任会見は憐憫を誘った。5億円収賄で首相を辞任した田中角栄と比べ、悪の規模も人間の器も格段に卑小になった。調査をヤメ検(元東京地検特捜部の弁護士)に依頼し、それも秘書に対する聴き取りが中心だった。
 調査の客観性を装い、自身を第三者の立場に置き、疑惑の焦点を秘書の監督責任に矮小化するため。そこには自らの保身と安倍政権への贖罪(しょくざい)意識しかない。
 事件のあらましはこうだ。県道千葉ニュータウン北環状線(白井市)の道路建設を巡りS建設会社とUR(独法・都市再生機構)との間にトラブルが生じ、S会社が総務担当を窓口に甘利大臣と秘書に補償金の請託を行い、2013年から2年間に総額1200万円以上の贈収賄が行われ、URに99・8%出資する国交省局長らを巻き込んだというもの。
 甘利氏は13年11月14日、大臣室でS社の社長から50万円、14年2月1日に神奈川県大和市の事務所で総務担当から50万円、計100万円を受け取った。秘書は口利きで500万円を受け取った上、飲食、フィリピンパブなど遊興費をたかり、その逐一をS社総務担当に記録されていた。

 記者会見の甘利氏の説明は、総務担当の証言と大きく食い違っている。例えば、『週刊文春』は大臣室での贈収賄の場面をこう書いている。
 「うちの社長が桐の箱に入ったとらやの羊羹と一緒に紙袋の中に、封筒に入れた現金50万円を添え、『これはお礼です』と言って甘利大臣に手渡しました。…すると甘利大臣は『あぁ』と言って50万円の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットにしまった」
 甘利氏はこれを否定し、「スーツの内ポケットに入れるという行為が本当だとしたら、政治家以前に人間としての品格を疑われる行為だ。そんなことをするはずがない」と反駁した。
 笑止というほかない。人間としての品格があるなら、贈賄の意図が明確な現金の提供は拒否するはずだ。ましてや舞台は大臣室、それだけでも政治家以前に人間失格だろう。
 甘利氏は引き続き調査を進めると述べた。しかし、国会は甘利氏の調査に関わらず、甘利氏や関係者を参考人として招致すべきだ。
 また、検察は確かな証拠が揃っているのだから、政治資金規正法違反、あっせん利得処罰法違反容疑で犯罪捜査に踏み切るべきだ。最後は無罪となった小沢一郎氏の例もある。
 企業に奉仕する国家に全身全霊を捧げ、秘書に責任を転嫁しながらも政治家の美学を語る甘利氏とその人が屋台骨の安倍政権。一日も早い退陣こそ、任命責任の確かな証だ。


 
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