新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 今週の新社会
  4. 2016.04.26
 
九州地震 死者40人超
オスプレイが救援 えっ、それ必要?



 新基地建設工事が中断している4月1日の沖縄・大浦湾の辺野古崎で、仲間とカヌーに乗って抗議行動をしていた芥川賞作家の目取真俊さん(55歳)が米軍に拘束され、8時間後に海上保安庁が日米地位協定に伴う刑事特別法違反容疑で逮捕した。「仲間を返せ!」、市民の抗議により目取真さんは翌2日に釈放。福岡高裁那覇支部の和解案を国と県が受け入れて工事が中断中の事件。目取真さん拘束の直前、日米首脳会談が行われ、オバマ大統領は安倍首相に工事の遅れに懸念を表明した。のりこえねっと共同代表の辛淑玉さんが怒りの声明を出した。





 目取真俊さんが辺野古の海で逮捕された。米軍提供水域内に侵入したからと、もっともらしい理由が付けられているが、馬鹿げている。
 沖縄で犯罪を繰り返す米軍が不当に拘束し、「日の丸」を船尾に掲げた巡視艇で傍若無人の弾圧を行っている海保に渡して逮捕させたのだ。この超大国の軍隊と、それに追従するヤマト政府とのあきれた結託によって行われた不当逮捕に、心の底から強く強く抗議する。
 沖縄戦の記憶を主題とする『水滴』で芥川賞を受賞した目取真さんは、その文学を通して、沖縄が経験してきたさまざまな人間の苦しみと不条理を、ウチナーグチを交えた豊かな言葉で伝えてきた。
 その目取真さんはまた、辺野古の海で、新基地建設に身をもって非暴力の抵抗を続けている人でもある。
 目取真さんの行動は、沖縄の苦しみと不条理を伝える彼の文学の、欠くべからざる一部なのだ。
 目取真さんは、以前私との対談で、「人は、毒のないミミズは踏んでも、ハブは踏みません」と語ったことがある。
 それは、牙を剥いて抵抗することの意味を伝える、彼らしい寓意表現だった。
 そう、私たちはミミズなのだ。少なくとも、ミミズだと見なされ、舐められている。
 私は、この文学者の逮捕に関与したすべての人間の小心さと、そのくせ虚勢を張る傲慢さと、それゆえに際限のない暴力性に対して怒り、軽蔑する。
 この不条理は今に始まったことではない。ジュゴンが海藻を喰む美しい海を押し潰そうとする軍事基地の存在の異様さを、そして、辺野古で米軍と日本政府によって繰り返される市民に対するすさまじい暴力を、私は沖縄の人々とともに、幾度となくこの目で見てきた。
 そして、何度となく、その傲慢さに唇を噛み、その暴力への怒りで体が震えた。
 その異様さと暴力の延長線上に今回の逮捕はある。そして私には、目取真さんを拘束し逮捕した者たち以上に、彼の逮捕の知らせを平然と看過する、共感力を喪失した日本人たちの無感覚と傲慢さが恐ろしい。 それは、在日コリアンに向けてヘイトスピーチを繰り返し、エーゲ海をさまよう難民をあざ笑う者たちの荒廃した精神と深く通底しているからだ。
 しかし、最後に言っておきたい。目取真さんという一人の文学者を拘束し逮捕したことの象徴的意味を、逮捕に関与した者たちや、それを無視したすべての日本人が理解し、その過ちの大きさを知る日が、すぐそこに迫っていると。
 私たちは負けない。


 2016年4月2日


 
 ↑上にもどる
一覧へ
TOPへ