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2012. 4. 24
個人通報制度
批准していない人権後進国 

 憲法前文は、「国際社会において名誉ある地位を占めたい」と人類の幸福のため世界をリードする烈々たる気概を表明する。だが、現実は平和、人権、民主主義の憲法3原則のどれをみても、その理念からは程遠い。憲法記念日を前に、人権を国際レベルから考える。

 

 憲法11条は、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる」と高らかに人権尊重をうたう。

 だが、国がその具体化のための法律を定めなかったり、国際条約を批准しないことが多いため、至る所に人権侵害があり、人権問題がある。権力による人権侵害は日常茶飯だ。


  人権の最後進国


 国際的には第二次大戦後の国際連合発足の際、ナチスドイツのユダヤ人虐殺に対する反省から「人権保障はそれぞれの国に任せていては実現できない」と市民的、政治的自由権を保障する「自由権規約」の設立や「女性差別撤廃条約」など、人権を国際的に保障する体制が確立した。


 国内の救済手段を尽くしても人権侵害の救済が実現されない場合に、被害者個人が国連機関に救済措置を求めることができる制度・個人通報制度である。


 個人通報制度は、自由権規約、女性差別撤廃条約、拷問等禁止条約、人種差別撤廃条約などに設置されているが、日本はどの条約の選択議定書も批准しておらず、個人通報制度は導入されていない。


 G8サミットでは日本だけ、OECD(経済開発協力機構)加盟34カ国では、日本とイスラエルの2カ国だけが何らの個人通報制度も有しない。世界で164カ国が自由権規約を批准し、うち111カ国が選択議定書を批准しているのに、だ。


 日本は、1979年に自由権規約を批准しており、そのほとんどの条文について民事、行政、刑事の裁判で使うことができる。しかし、警察や刑事施設の職員などの公務員や裁判官、市民の間に浸透しておらず、裁判の場で使われることが少ないのが現状という。

 このように、日本で自由権規約がよく知られていないのは、「個人通報制度」が使えないことが原因だと日弁連などは指摘する。

 個人通報制度のある韓国では、画家の作品が「利的行為」と有罪となったケースで通報され、国連の自由権規約委員会は、表現の自由の侵害にあたるとして韓国政府に補償と再発防止を勧告した。

 このように、個人通報制度は発足から08年末の時点で、世界中で行われ受理された通報1819件のうち512件で人権侵害を認定した。そして、自由権規約委員会は、各国政府に勧告した上で勧告に従った人権状況の改善が図られたかどうか調査を行っている。


  公約は実現せよ


 日本では、「人権条約選択議定書を批准する」との政権公約(マニフェスト)を掲げる民主党政権が2年半前に成立し、個人通報制度の導入が今にも実現すると期待された。

 だが、遅々として進まないのが現実だ。日本の人権状況を国際基準に到達させるためにも、個人通報制度の導入を急いで実現させなくてはならない。


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