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2012. 5. 29
ギリシャの選挙
犠牲強要への反撃のうねり 



 ギリシャとフランスの選挙、世界の株安とソブリン危機など、全世界は複雑に交錯しつつ、新自由主義の被害≠どの階級に負担させるかせめぎ合いが続いている。消費税増税や公務員リストラに直面する日本の私たちに問いかけているものは何だろうか。

 ギリシャ国民は「結局は我慢せざるをえないだろう」と予測していたが、「小さな国の人々の歴史や誇りを読み誤っていたかもしれない」。これはギリシャ選挙の結果を見ての朝日特派員の反省である(5月10日付)。羊のように従順な国民を見慣れている日本のメディアは驚いたのだ。

 ギリシャはナチスドイツからの解放闘争を闘い、戦後も軍事独裁政権に抵抗した国だ。それがリーマンショック以降、ドイツに主導されたEUから「財政緊縮」を強制され、その是非を問う国民投票は潰され、緊縮財政で景気は低迷し、失業者は激増し、2月現在で21・5%110万人(25歳以下は54%)となった。

 グローバル金融資本の暴利と、ドイツなどに富が集中するEUの現状を守るためである。元々、ユーロ統合で通貨自主権が奪われ為替変動による調整もできない状態では、競争力の弱い国は不利だった。加えて国際金融資本の投機的な利益稼ぎ、富裕層の資産の国外逃避と脱税、二大政党の汚職・腐敗である。これらの付けを民衆に転嫁したのだから怒るのは当然だ。

 政治の後退こそ問題

 メディアは、ギリシャ国民のお陰で「世界経済が破綻」すると言わんばかりの論調だ。「読売」(5月18日)などは「軍事クーデター」の危険まで煽った。「朝日」(同19日)は「借金民主主義の破綻」と題し、「借金をかさねて福祉を維持するという政治モデルが崩壊した」ので「日本は教訓化せよ」と説く。

 しかしケインズ政策は借金が前提で、好況期の税収増で帳消しを想定してきた。それが長期不況時代になって、新自由主義で法人税減税や金融資本投機のグローバルな跋扈を推進したためにソブリン危機に陥ったのだ。福祉と公務労働の拡充が問題ではなく、資本の利益を強力に規制し、富の再分配を推進する民主主義の政治が後退させられたことが問題なのだ。

 ギリシャの「破綻」を防止するには、すでに借金の半分をデフォルトしたのだから、残りの半額6兆5千億円も棒引きすればいい。残りの内7割は、EUやIMFなど公的金融機関の保有。ギリシャを追い詰めた大国が少し節欲すれば済む。

 国際的な資本規制を

 だが、それだけでは解決にはならない。資本はギリシャからの取立てを断念した分、抵抗力のない国から奪い取ろうとするだろう。生活と労働の破壊の世界的連鎖を止めるには、資本の搾取・収奪競争への規制、所得の再分配強化をめざす国際的共同が必要だ。

 オランド仏大統領の公約にその一端が示されている。 銀行からの投資銀行業務の分離、 金融取引税導入、 国外の租税回避地利用の禁止、 富裕税最高税率75%への引上げなどである。

 オバマや鳩山は失速・変質したが、今回は、労働・社会運動の巨大なウネリがある。反転攻勢を実感させる。


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