新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 道しるべ
  4. 2012.7.10
2012. 07.10
水俣病「救済」期限
「7月31日」を撤回せよ



 水俣病は、1956年の公式確認から今年で56年。政府は、水俣病特別措置法に基づく救済策の申請受付を今月末で打ち切ろうとしている。だが、同法の対象地域外でも「被害者」が確認されており、このままでは潜在患者が切り捨てられる。期限を撤廃すべきだ。


 水俣病特措法に基づいて熊本、鹿児島、新潟の3県に救済を申請した未認定患者の「被害者」は、10年5月の受付開始から今年5月末までに5万5692人に上った。期限が設けられて以降、月間1000人を超す申請が続いているという。

 そして、水俣病の被害者6団体と民間の医師らでつくる実行委員会が6月24日に行った1397人の健康調査の結果が27日に公表された。それによると、書類不備などを除く集計可能な1394人のうち1216人(87%)に手足などの触覚または痛覚が鈍くなるなどの感覚障害があると診断されたという。

 認定されるべき人が

 また、1394人のうち26%には、見える範囲が狭くなる視野狭窄、33%の人は片足立ちができないなどの複数症状が見られた。

 特措法で救済される水俣病「被害者」は、国の基準では「患者」とは認められない人。だが、今回の健康調査によって「患者」として認定される可能性のある人がいることが明らかになったのだ。

 調査は、「不知火海沿岸地域住民健康調査実行委員会」(委員長=藤野糺医師)が不知火海沿岸の熊本県水俣市と天草市、鹿児島出水市の6つの会場で行ったもので、全国からボランティアで駆け付けた医師約140人を含むスタッフ830人が、食習慣の聞き取りや手足の感覚障害などを診察した。

 受診した人の年齢は32歳から94歳、現在の住所別では近畿地方をはじめ不知火海沿岸の有機水銀汚染による地域以外から308人が受診した。救済策は、原因企業のチッソが有機水銀の排水を止めた1968年までの居住暦で原則として対象者を限定している。

 対象地域でも、69年12月以降に生まれた人(43歳未満)は原則対象外だが、30代の受診者16人の中にも症状のある人がおり、医師団は「排水が止まった後も汚染が残っていた影響だ」としている。

 前回も9割に症状が

 健康調査は、潜在的な被害者の掘り起こしと水俣病の全容解明が目的で、09年の前回調査は先日亡くなった医師の原田正純さん(元熊本学園大教授)が実行委員長を務めて行ったが、受診した約1000人の9割に水俣病特有の症状が見られたという。

 今回は受診申込みが2000人を超え過去最大規模となった。24日に受診できなかった人は今後、順次調査することになっている。

 藤野医師は、「国は期限で区切ろうとするが、水俣病は終わるどころか、被害者の存在がどんどん明らかになっている。1人残らず救済すべき」と言う。

 「特措法」の対象は、水俣病患者ではなく、被害者であり、補償金ではなく、救済金として1人210万円を支払う。国・環境省は、救済の道を閉ざす申請の「7月締切り」を直ちに撤回し、認定基準の見直しなど抜本的な救済へさらなる制度設計を図るべきだ。


 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ