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2012. 07.17
原子力に「安全保障」
次の国会で削除させよう



 「原子力の憲法」である原子力基本法に「安全保障目的」が追加され、軍事利用≠フ懸念が広がっている。日本は、核燃料再処理施設と大量のプルトニウムを保有する「潜在的な核兵器保有国」だ。将来に禍根を残さないために、削除させなくてはならない。
 原子力基本法は、原子力の「平和利用」をうたい、公開・民主・自主の3原則による原子力の研究、開発、利用に関する基本方針を定めており、国是である非核三原則の基礎となっている。


 法律の下剋上で

 その基本法に、原子力の軍事利用に道を開きかねない「わが国の安全保障に資することを目的とする」との文言を付け加える重大な変更は、6月20日に成立した原子力規制委員会設置法の付則に盛り込まれ、基本法に追加する手法をとった。
 変更は、自衛隊法などが憲法の平和原則を侵すように、下位の法律が上位の基本法を侵す法律の下剋上によって行われたのだ。
 政府が当初提出した原子力規制委員会設置法案には、「わが国の安全保障に資する」という文言はなかった。しかし、民自公3党による修正協議の場で、協議前に衆議院に提出されていた「自公案」に基づいて自民党が入れるように主張し、ほとんど異論もなく受け入れられたという。

 3党による「談合」は、消費税増税法案だけでなく原子力規制委員会設置法と原子力基本法の重大な変更でも行われたのである。


 意味が全く違う

 法案は修正によって衆院環境委員長名で提出され、自・公の委員は、「安全保障に資するという文言は、核物質の軍事転用や核テロなど不正転用を防ぐ国際原子力機関(IAEA)の保障措置などを指す」と説明した。

 安全保障は、「外部からの侵略に対して国家および国民の安全を保障すること」(広辞苑)であり、英語では「セキュリティ」と訳す。保障措置は同じく「セーフガード」であり、意味が全く違う。
 「保障措置を指す」のなら、「保障措置」とすればよく、軍事的な意味である「安全保障」を使ってはならない。現に、韓国のメディアは、原子力基本法の改定を受けて日本の「核武装」を懸念する記事を掲載した。

 服部良一衆議院議員(社民党)は、「安全保障目的」の追加に関する質問主意書を提出し、政府が閣議決定した答弁書は「原子力の研究、開発及び利用は平和目的に限る方針に、何ら影響を及ぼすものではない」とした。
 それなら、なおさら「安全保障」などという言葉を使う必要はないはずだ。一事不再議の原則で今国会で再改定できないなら、次の国会で削除なり、「保障措置」と改めるなり、将来に禍根を残さない手続きをとるべきだ。


 JAXA法でも

 ところで、同じく6月20日に民自公の談合によって成立した改定宇宙航空研究開発機構(JAXA)法は、JAXAの活動を「平和目的に限る」とする規定を削除し、軍事目的の宇宙開発に道を開く重大な内容となった。
 宇宙開発の憲法である「宇宙基本法」には、「わが国の安全保障に資する」との文言があり、今回の宇宙機構法改定の「呼び水」になったという指摘がある。


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