新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 道しるべ
  4. 2012.8.28
2012. 08.28
線量計に鉛板
被曝隠し≠ヘ重大な犯罪だ


 「線量計に鉛板、被曝隠し」、7月21日付『朝日新聞』朝刊1面にショッキングな記事が掲載された。事故を起こした東電福島第一原発の工事で、下請け会社の労働者が被曝線量を低く見せ掛けるため、線量計を鉛板で覆って作業させられたことが露見したのだ。


 事故後の福島第一原発では、発生直後の昨年3月に作業中の3人の労働者が、放射能汚染水にくるぶしまでつかって被曝した事故を皮切りに、線量計の不足やマスク着用の不徹底、内部被曝検査を受けさせなかったケースなど、労働者の安全に関するトラブルが相次いで発生している。


 ちなみに、内部被曝の検査を受けていない労働者の問題は、東電が昨年12月に13人の氏名を公表して8カ月が経過した今日もなお10人が不明のままだ。



 労安法違反で強要罪



 そして、今度の「事件」だ。「APD」と呼ばれる警報付きポケット線量計は、放射線を感知し、全身がどれだけ放射線を浴びたか測定するため、労働者は防護服の下のシャツの胸ポケットに入れて現場に入る。設定した線量に達すると警報が鳴り、高線量の現場では「命綱」だ。


 そのAPDを鉛板でカバーすると、どうなるか。放射線は遮られて低下する。センサーが塞がれれば、正しく測定されず、線量の積算は不可能だ。また、線量が非常に高くても警報が鳴らず、労働者は一度に大量の放射線を浴びてしまう。


 今回の「事件」は、下請け会社ビルドアップの役員が作業チームの約10人に、APDを鉛板で覆うよう指示したことが発端だ。3人はその場で拒否したという。なぜ、そうした指示をしたか。役員はいろいろ言っているが、警報の鳴る線量の高い現場で少しでも長く作業させるためだ。


 労働安全衛生法は、健康に被害を及ぼす恐れがある環境で労働者を働かせる場合、防止策を企業に義務付けている。鉛板で線量計をカバーさせる指示は、明らかに違反だ。

 また、役員は「強制はない」と言っているが、実際に装着しなくても上司が迫ったのであれば、刑法の強要罪になる。さらに被曝隠しが発覚したら、「鉛カバーは5人が着け、作業時間は3040分」と口裏合わせの指示も明らかになっている。



 被曝労働が必然の悪



 福島第一原発の事故現場では、毎日3000人が働いている。その9割が下請けや派遣労働者で、放射線被曝の平均は東電の社員の4倍になるという。さらに違法派遣や暴力団がからんだ「人出し」、重層下請けのなかで賃金のピンハネも明らかになっている。


 このような違法・無法な原発労働は、福島第一の事故現場だから明らかになったが、核や原発に関わる現場では、労働者や住民の被曝は隠され、闇に消されてきた。今年6月までに日本で原発に関わった労働者は200万人を超え、40から50万人が被曝労働者として闇に葬られたという。


 原発は、被曝労働なしに存在できない、人間社会の悪だ。脱原発を実現するにせよ、気の遠くなるような廃炉作業という被曝労働がある。安全なくして労働なしが鉄則だ。鉛カバーのような違法・無法なことは絶対になくさなくてはならない。


 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ