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2013.05.28
教育委の「改革」
狙いは教育の国家統制だ



 

 教育委員会制度が大きく変えられようとしている。行政がやりやすいように、すなわち、首長の意向が教育委員会にストレートに反映する教育委員会にするため、安倍政権は教育長の位置づけや委員の選任方法などを見直すというのだ。


 教育委員会は、天皇制国家による侵略戦争を再び起こさせないため、GHQが米国から招いた教育使節団の報告書を元に制度化された歴史を持つ。
 教育行政の安定性・中立性の確保をうたい、自治体首長から独立した公選制・合議制を基本とするものだった。
 しかしその後、自民党・岸内閣は1957年、イデオロギー対立が教育に持ち込まれるとして地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)で、首長任命制による教育委員会に変えた。


 中野区の準公選制


 こうしたなか、東京都中野区は、評論家の俵萌子さん(故人)らの提唱で2万人の署名を集め、準公選制、すなわち、区民の推薦を受けた立候補者から教育委員を任命する制度を79年に導入した。
 81年、85年、89年、93年と4回にわたって区民投票による教育委員の準公選制が実施され、施行の81年には俵さん自身も任命されている。
 こうして誕生した準公選委員は、様々な斬新な取組みに挑戦した。例えば、仕事を持っている人も傍聴できるようにと夜の委員会を開いたり、傍聴者に録音や写真撮影・発言を許可するなどの改革に取り組んでいる。


 また、中野区立富士見中学校で86年に起きたいじめによる生徒の自殺事件(俗に「葬式ごっこ事件」と言われる)では、委員が当該校に出向いて調査している。
 しかし、区民の意識の変化もあって委員選挙の投票率が次第に低迷したことに加え、文部省が「違法の疑い」「政治的中立が失われる」などと制度を否定する動きを強め、さらに自民党のボイコット運動などもあり、区議会の過半数を自民・民社(当時)が占めるなかで95年に廃止された。
 ただ中野区では、準公選制の制度的発想を活かすために教育委員の「推薦制」を導入している。


 首長の意向が直に


 さて、現実の教育委員会は地教行法の精神からも離れ、すでに政治の影響力が反映されているにもかかわらず、安倍政権は改定を政治日程に上げてきた。
 そこには、「教育再生」をうたう安倍自民党と日本維新の会による教育の国家統制という狙いが透けて見える。
 すでに、第一次安倍内閣が教育基本法を改悪し、「愛国心の育成」が加えられた。今次の改定で首長の政治的意図が教育に反映されるようになると、形式的でも維持されてきた教育の政治的中立は侵され、文科省がめざす教育が教育委員会を通してそのまま教育現場に反映されることになる。
 教育委員会制度の改悪は、民主教育を守るためにも許してはならない。

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