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2013.06.11
敵基地攻撃能力論
危険な日本型先軍思想



 

 自民党は、今年暮れに策定予定の新防衛大綱に向け、「敵基地攻撃能力保有の検討」を打ち出し、防衛省は、これを受けた形で作業を進めている。北朝鮮のミサイルが口実だが、東アジアの緊張と軍拡を激化させるだけだ。


 同党国防部会と安全保障調査会の合同会議は5月17日、新防衛大綱に向けた提言案で、海上発射型巡航ミサイルの導入による「策源地攻撃論」を打ち出した。
 鳩山一郎首相は1956年、「敵国が弾道ミサイル等を日本に向けて撃とうと準備している場合、これを攻撃することは自衛権の範囲内で憲法に抵触しない」と答弁したが、専守防衛の理念とも衝突するとして長く棚上げされてきた。
 この議論が北朝鮮や中国を念頭に公然化し、政府の基本方針になろうとしている。だがその意味や実体を吟味すれば、不毛で有害無益であることは明らかだ。


 緊張と軍拡の火種 


 日本に向けたミサイル発射の準備とは曖昧で、それへの攻撃は先制攻撃にもなろう。どんな先制攻撃も、脅威からの防衛の口実で始められる。10年前のイラク攻撃もそうだった。
 専守防衛先制攻撃の境界は消え、自衛隊は事実上、先制攻撃能力を持つことになる。これは、憲法9条の公然たる否定である。
 また、日本の攻撃能力の範囲に含まれる諸国は、新たに生まれる日本発の脅威に対し、防衛態勢を強めるだろう。それには日本の策源地を攻撃する能力の保有も含まれうる。つまり、日本は東アジアにおける新たな緊張と軍拡競争の火付役となろう。
 なお、敵ミサイルの策源地と言うが、日本に届く周辺国の中距離ミサイルはほとんどの場合、地下に配備され、発射時にはトレーラーなどで移動する。
 これに対し巡航ミサイルは、発射から着弾まで1〜2時間かかり、着弾した時には相手ミサイルはそこにないということにもなる。
 そこで、巡航ミサイルだけでなく、ミサイル防衛(MD)の拡充、F35などによる対地攻撃能力、静止衛星による常時偵察体制などが組み合わされていくことになる。


 相手国は、MDを突破できるミサイルの増強、防空能力強化、軍事衛星破壊能力などで対抗するだろう。すでに東アジアでも、この論理が動きつつある。


 戦争する国への道


 また合同会議では「(米国が持つ)打撃力の一部を日本が持つことも課題だ」と語られた。
 日本も牙を持つ軍事大国、戦争する国になることが悲願―、このような日本版先軍思想は、平和と協力の創造が緊要で可能な東アジアに、武力による威嚇と軍拡競争の悪循環をもたらすだけだ。
 憲法を無視し破壊しようとしている自民党と、軍拡の口実を求め続けている防衛省、軍需産業のタッグマッチを、私たちは強く糾弾する。

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