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2013.06.18
夫婦別姓で原告敗訴
社会の実態に即した判断を



 

 夫婦別姓を導入しない立法の責任を問い、賠償を求めた訴訟の判決が5月29日に東京地裁であり、原告は敗訴した。夫婦別姓をめぐる司法の判断は初めてだが、社会の実態とかけ離れ、裁判所の古い体質が露な判断と言わざるをえない。


 夫婦別姓を認めない民法の規定を改正しないのは憲法違反と訴えたのは、東京、富山、京都在住の男女5人で、国に計600万円の損害賠償を求めた。「夫婦は夫か妻の姓を名乗る」と定める民法750条の規定が憲法に違反するかが最大の争点だった。
 判決は「結婚して姓を変えることで、人間関係やキャリアの断絶など、不利益が生ずることは容易に推測できる」としながら、「夫婦がそれぞれ婚姻前の姓を名乗る権利が憲法上保障されているとはいえない」と原告側の請求を棄却した。
 また、「氏名は人格権の一部を構成する」としながらも、個人の尊重を定めた憲法13条が保障された権利に含まれることが「明らかとはいえない」とし、両性の平等を定めた憲法24条についても「夫婦が別姓を名乗る権利を保障したものということはできない」とした。


 別姓肯定派広がる


 厚生労働省の一昨年の調査では、結婚時に約96%のケースで妻が改姓しており、改姓の負担は女性に集中している。そのなかで改姓に抵抗を感じる女性は、通称使用や事実婚を貫いている。だが、そこには不便や限界、不利益があって、悩み苦しんでいる女性・夫婦が増えているのが実態なのだ。
 原告側は「家族、結婚生活の意識や実態が変化し、夫婦同姓を強制する根拠が失われた」と民法の規定の違憲性を訴えた。これに対し、国側は「社会通念上、夫婦別姓の導入が不可欠と認められるまでには至っていない」と反論する。
 世論は国の言う通りなのか。内閣府の昨年12月の世論調査では、別姓導入の賛否は3割程度と伯仲した。だが、20代、30代女性の約5割が「別姓を認める法改正をしてもいい」と答え、不要派は2割だった。若い世代では着実に別姓肯定派が広がっている。


 国連人権委も勧告


 夫婦別姓をめぐっては、法制審議会が1996年に夫婦別姓を選択できる民法改正案を答申したが、与党・自民党内で反対意見が根強く、法案の提出は見送りとなった。導入に意欲的で、マニフェストにも掲げた民主党政権でも改正案は提出されなかった。
 国連の女性差別撤廃委員会なども、結婚によって姓の変更を強制するのは問題があるとして民法改正をたびたび勧告している。欧米やアジアの多くの国々では、選択的夫婦別姓を採用している。
 女性の社会進出で家族の形・在り様が多様化している中、社会の実態に即した制度の構築が求められる。原告の控訴によって高裁で争われるが、裁判所も実態に即した判断を示す時代がきている。

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