新社会党
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. 道しるべ
  4. 2013.08.20
2013.8.20
   
内閣法制局長官人事
集団自衛権突破へ禁じ手



 
 「集団的自衛権解釈変更の布石 法制局長官に容認派」、8月2日の夕刊に刺激的な見出しが踊った。そして、安倍内閣は8日の閣議で外務省出身の小松一郎前駐仏大使を内閣法制局長官に起用する異例・禁じ手の人事を強行した。



 安倍晋三首相は、集団的自衛権の行使容認を悲願とし、その実現に執念を燃やしてきた。安倍内閣は、参院選での自民大勝・衆参ねじれ解消を果たして危険な本性も露に暴走を始めているが、法制局長官人事は、その号砲とも言える。 


 国家安全保障法


 第一次安倍内閣は07年、首相の私的諮問機関として「安全保障の法的基盤再構築懇談会」(安保法制懇)を設置し、集団的自衛権の行使容認へ準備を進めていたが、参院選敗退・安倍内閣退陣で頓挫したかに見えた。
 だが、政権復帰の展望が見えてきた自民党は昨年7月の総務会で、集団的自衛権の行使などを柱とする「国家安全保障基本法案」(概要)を承認。そして、昨年末の総選挙や先の参院選でその制定を公約した。法案は、来年の通常国会に提出する方針という。
 国家安全保障基本法案の国会提出について、自民党は議員立法の方針としてきた。内閣提出にすると、「集団的自衛権の行使は憲法が認めていない」とする見解を貫いてきた内閣法制局によって阻まれるからである。
 議員立法の場合、衆・参のそれぞれの法制局が憲法適合性について意見は述べるものの、法案を提出するかどうかを決定するのは国会議員であるから、自民党は憲法違反の法案でも国会提出は可能と踏んだのであろう。


 正面突破に変更


 だが、内閣法制局の審査を迂回する議員立法では、内閣法制局との関係で整合性を担保できないと考えたのか、安倍首相は参院選直後に、「閣法」でやるべきとの考えを表明、正面突破の挙に出てきたのである。
 つまり、憲法の番人≠ニされる内閣法制局長官の首をすげ替えることによって、集団的自衛権行使の合憲解釈を強行し、その上で国家安全保障法案を内閣提出法案として国会提出するという方針に変えたとみられる。
 外務官僚出身の小松氏は、外務省で条約課長や国際法局長を歴任し、第一次安倍内閣では、安保法制懇の事務作業に関わった人物である。
 内閣法制局長官は内閣が任命する。だからと言って、平和憲法の根幹に関わる解釈を変えるために人事から手を付ける手口は、余りにも乱暴かつ恣意的で、許されないことだ。


 イラク戦争では


 10年前のイラク戦争の際、集団的自衛権行使が容認されていたら、イラクに派遣された自衛隊は、米国の「先制的自衛権行使」で始まった戦争に巻き込まれていたはずだ。 だが、憲法9条に基づく集団的自衛権行使の違憲解釈によって、正面から戦闘に参加することはなかったのである。


 ↑上にもどる
一覧へ
トップへ