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2013.9.03
   
水俣病の認定条件
国は速やかに誤りを正せ



 
 最高裁は4月16日、国と熊本県が切り捨てた水俣病患者を「水俣病」と認定する明快な判決を下した。判決の根幹は、「四肢末端優位の感覚障害のみの水俣病の存在」である。行政は、誤った「認定条件」を速やかに改めるべきである。


 環境省は最高裁判決の2日後の4月18日、南川秀樹事務次官(当時)が記者会見して「判決は1977年判断条件を否定していない」とする見解を発表した。
 だが、最高裁判決は国の判断条件について「多くの申請について迅速かつ適切な判断を行うための基準を定めたものとして、その限度での合理性を有する」とする。つまり、「判断基準」は限定的で、制度としては不適切だから改革すべきと指摘している。


 判断条件撤廃を


 判決は、水俣病を「魚介類に蓄積されたメチル水銀を経口摂取することにより起こる神経系疾患」と定義し、認定審査についても「個々の患者の病状等についての医学的判断のみならず、患者の原因物質に対するばく露歴や生活歴及び種々の疫学的な知見や調査の結果等の十分な考慮をした上で総合的に行われる必要がある」とする。
 さらに最高裁判決は、「認定」についても、「客観的事象としての水俣病のり患の有無という現在又は過去の確定した客観的事実を確認する行為であって、この点に関する処分行政庁の判断はその裁量に委ねられるべき性質のものではない」とも断じている。

 これら最高裁の判示は、環境省が主張してきた水俣病の定義や認定に関わる基礎的な枠組みを完全に否定するものである。従って環境省は、「77年判断条件」を直ちに撤廃し、法理に適った新たな認定基準を策定しなくてはならないことは自明であり、そのことを強く要求する。
 

 密室協議するな


 環境省と熊本県は現在、患者や原告弁護団などを排除して「77年判断条件における総合的な検討の具体化」を進めているが、密室の画策を直ちに止め、開かれた場で、実態調査のデータに基づいた議論を進めるべきだ。

 というのは、最高裁判決は「(認定に関する)処分行政庁の判断はその裁量に委ねられるべき性質のものでない」としているからだ。つまり、行政が勝手に認定基準を決めて線引きするなと言っているのである。


 悉皆調査を行え


 水俣病は、1956年5月1日に公式確認された。この日から57年以上経過した今日、その全容は未だに明らかになっていない。国・熊本県がその調査を怠ったからだ。不知火海沿岸住民の悉皆調査≠ェ求められているのである。
 そして、求められているのは、公健法に基づく認定を医学的・社会的に適正なものにするために不可欠な、広範囲の住民の健康データを収集する調査だ。公正を担保するために第三者を参加させることが必要なことは、言うまでもない。


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