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2013.10.22
   
「解雇特区」創設
憲法番外地≠ヘ許されない



 
 安倍政権の成長戦略の柱に「企業が労働者を解雇しやすい特区」がある。「解雇するルールを契約で決める」ことで解雇のハードルを下げようというのだ。憲法27条に「労働条件は法律で定める」とある。「特区」は憲法違反である。


 自民が財界に約束


 安倍晋三首相は、「日本を世界で企業が一番活動しやすい国にする」と言って歩いている。首相の意を受けた規制改革会議や産業競争力会議は、政権の成長戦略の一つとして、労働者を簡単にクビにする「解雇特区」の創設を唱える。
 「雇用特区」とも呼ばれているが、解雇が自由、労働時間の上限を撤廃、残業代ゼロといった制度を導入するなど、企業の思い通りに労働者を働かせることができる、憲法が定めた「労働条件法定主義」を無視し、真っ向から否定する構想が成長戦略の名で出てきているのだ。
 これは、「総選挙に勝って政権に復帰したら実行する」と自民党が経済界に約束したことだ。そして、今月15日に開会した臨時国会に法案を提出する方針で準備を進めている。


 歴史逆戻しの企み


 これは立場の弱い労働者、子どもや女性までが長時間労働、深夜労働、不衛生で危険極まりない状態で働かされた産業革命の時代に歴史を逆戻しする悪企みだ。労働者が、時に血を流すような激しい闘いによって今日の労働条件・権利を勝ち取ってきたことを忘れてはならない。
 世界に先駆けて産業革命が起きたイギリスでは、1802年に工場で働く児童を保護するために工場法が制定され、45年後には10時間労働法まで進んできた。こうした成果は次にフランス、そしてヨーロッパ全土へと広がっていった。
 遅れて産業革命が始まった日本で工場法が作られるのは、イギリスに遅れること約110年、1911年である。資本主義の発達が遅れたばかりでなく、労働者を保護すれば国家と経済の発展が妨げられると考えた資本家の頑迷な抵抗があったからだ。


 問われる労働組合


 戦争中は工場法などは無視され、すべての国民が戦争遂行に駆り出された。戦後に制定された憲法は、27条で労働条件法定主義を定めた。憲法に基づき労働基準法が制定され、工場法は廃止された。
 労働組合法、労働関係調整法の3法は例外を認めない普遍法として憲法的保障を定め、労働者は合理的な理由なしに解雇されたり、劣悪な労働を強制されることはないという権利を保障している。
 ところが、安倍政権は「例外」の「解雇特区」を作ろうとしている。こうした方向に、労働法制は全国一律でなくてはならないとする厚生労働省が抵抗しているのは、当然だ。

 経済評論家の内橋克人さんは、労働者の権利をはぎ取る解雇特区を「憲法番外地」と批判する。歴史を逆戻りさせないため、労働組合の存在が問われている。


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