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2013.11.26
   
「復興加速化」案
フクシマ切捨て・東電救済だ



 

 今頃になって、原発事故被害者に「この地域は住めません」は残酷だ。ある程度の「覚悟」はあっただろうが、避難者は故郷帰還の望みも断たれる。一方、国費投入によって東電は生き延びる。そんな理不尽が許されていいわけがない。


 与党自民・公明の提言「福島復興加速化案」を受け、安倍政権はいろいろと努力はしているようだが、福島事故避難住民の「帰還の見通しを持つに至っていない」という現状認識の上に、@避難者の全員帰還の放棄と新たな分断、A事故処理負担の東電責任原則の放棄・国費投入という方針転換を打ち出した。
 だが、そこには大きな問題がある。


 線量基準切上げ


 第一に、帰還可能地域と困難地域に分け、除染は当面可能地域に集中し、困難地域の住民の移住だけは住宅を含めて支援するとしている。
 そして、帰還のための条件(被曝線量)を「場(空間)線量」から「個人線量」に切り替え、最終1ミリシーベルト目標もなし崩し的に棚上げしてしまう。被曝線量基準値は、大きく引き上げられる。住民への帰還説得(帰還強制)、除染費用圧縮のための被曝量基準の規制緩和だ。
 しかも、移住支援の中身は今からで、新たな支援の線引きは帰還・移住を巡って新たな分断を持ち込むことになる。除染もどう進むか不明で、自治体は存廃すら問われることになる。「復興の加速化」の名によるフクシマの切捨ては、許されることではない。


 破綻回避の本音


 第二に、「東電任せにはできない」はその通りで、国が責任をとるのが遅いのだ。「『この地域には住めません』といつか誰かが言わなきゃいけない時期が必ず来る」と、自民党の石破幹事長はうそぶくが、原発を推進してきた自民党には大きな責任がある。
 この間はっきりしたことは、「安全神話」の崩壊と、いったん事故が起きれば放射能制御は不可能で、事故処理ができないということだ。
 何よりも政府責任で、小泉元首相が言うように「トイレなきマンション」から脱却すべきだ。脱原発が明らかになれば、東電の扱いも明確になる。政府は、事故処理・電力の安定供給のために東電はつぶせないという。
 その本音は、原発という巨大投資のための莫大な社債と銀行支援があり、破綻すれば電気事業法で債権者や銀行が優先され、賠償や除染が二の次になるということだ。では、10兆円ともいわれる事故処理費用はすべて血税で賄うのか。そんな理不尽はない。
 東電を破綻処理、政府主導で「廃炉・除染」事業の別会社を作り、脱原発で浮く核燃サイクル、もんじゅの予算や使用済み核燃料の再利用のための電力会社の積立金を利用すればよい(金子勝慶応大教授の提案、11月6日『東京新聞』)。
 福島復興は、「国民のための国家」という日本の民主主義の問題である。


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