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2014.05.20
「水俣病」問題(下)
自治体は国とケンカしても



 水俣病患者・被害者の認定・救済を阻んでいる最大の元凶が国・環境省であることは明らかだ。だが、法定受託事務として認定業務を担う自治体が救済の意思を持つのか、国の下請けと化すのかによっても大きく左右されている。


 昨年4月の水俣病溝口訴訟の最高裁判決は、手足の先ほど感覚が鈍くなる典型的な「1つだけ」の症状で水俣病と認定し、「複数の症状の組み合わせ」とする国の「77年基準」を根底から覆す画期的なものだった。


 なぜ真逆の対応


 この最高裁判決に対する評価と対応は、国に代わって認定業務を行う「法定受託業務」を担う自治体によって正反対とも言える状況だ。
 熊本県の蒲島郁夫知事は判決の翌日、認定基準の見直しを求める溝口訴訟原告の溝口秋生さんに対し、「知事が基準を変えることはできない」という同じ言葉を3時間にわたって延々と繰り返し、患者・被害者に寄り添う姿勢を見せることはなかった。
 一方、昭和電工の廃液によって阿賀野川下流域で発生した水俣病患者を抱える新潟県の泉田裕彦知事は、最高裁判決を高く評価するとともに、国に対して認定基準と運用の見直しを求めた。


 この両者の違いはいったい何なのか。その理由や背景は分からない。ただ言えることは、県の姿勢によって被害者・患者と認定患者の割合が圧倒的に違うということだ。


 切捨ては明らか


 新潟水俣病裁判の支援者が、水俣病第二世代訴訟・熊本地裁判決についての東京での報告集会(4月2日)で次のように明らかにした。
 「特措法や95年和解に応じた人の数・認定申請した人の数、これらの数と認定患者の数を比べると、新潟県は4倍、熊本県は24倍くらい、鹿児島県は40倍を超える」。それくらい違うというのだ。
 新潟県や、政令市として認定業務を行う新潟市が、認定に積極的とまで言えるのかどうかは分からないが、熊本県や鹿児島県が患者切り捨て策を取っていることは明らか、と言わざるを得ない。
 住民と直に接する自治体、とりわけ水俣病に苦しむ何万人という県民を抱える熊本県は、患者・被害者に寄り添った政策を取るべきだし、取れるはずだ。


 地方自治の本旨


 新潟水俣病第三次訴訟弁護団の高島章弁護士は、4月2日の報告集会で次のように述べた。
 「県の人たちは、法定受託事務を逃げ口上にする。とくに熊本県は、国・環境省の指針を基にやるしかないと言う。しかし、それは憲法の趣旨に合うか。憲法は地方自治の本旨と言っている。地方自治体は議員や首長を選挙して民主的にやっていく。国から独立しており、国とは対等の位置にある。法定受託事務といっても、県や市は独自色を出して頑張れるところがある。国とどこまでケンカできるかだ」。

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