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2014.06.24
混合診療の拡大
 国民皆保険制度を崩壊に導く



 「蟻の一穴」という言葉がある。強固で長大な堤防も、小さな蟻が掘った穴から崩壊するという意味だ。安倍首相が執念を燃やす集団的自衛権行使容認も、首相が先日表明した混合診療の拡大もそれだ。国民皆保険制度を崩壊に導く。


 保険証が1枚あれば、日本中どこでも、いつでも医療を受けられる。「国民皆保険制度」は国民の命と健康を守る世界に冠たる制度だ。命と健康を守るため保険給付に上限はなく、自己負担も払える程度にとどめる。
 1961年に始まり、すでに半世紀を超え、長寿社会を実現し、支える社会保障の岩盤≠セ。その岩盤の柱の一つが「混合診療の原則禁止」。軽い風邪ひきに対する医療も、何時間もかかるような大手術を伴う医療も、一連かつ有機的に結びついた過程があり、切り離せない。
 そうした一連の医療行為を保険診療と、全額自己負担の保険外診療に厳密に線引きし、区分することは不可能だ。
 さらに手術や薬品は、安全性が公的に確認されたものしか保険の対象にならない。そうでなければ、医療の専門知識を持たない患者が効果の低い医療や副作用にさらされる危険性があるからだ。


 命の上に企業利益


 その原則にも例外が設けられている。例外は、厚生労働省の専門家会議の審査を通った自由診療のみ保険と併用ができる。がんに対する陽子線治療など94種類の医療が延べ1239の医療機関で提供されている。
 安倍首相が6月10日、視察先の都内の大学病院で表明した混合診療の拡大は、患者の申し出に応じて使える国内未承認の新薬や最新の医療機器を増やすというものだ。今月末に閣議決定する成長戦略の目玉として盛り込み、来年の通常国会に関連法案を提出する方針という。
 混合診療の拡大は、政府の規制改革会議が今年3月末に打ち出した。混合診療の解禁は公的な医療を縮小して民間の保険会社の医療ビジネスに置き換えるのが狙いで、大企業の利益を人間の命と健康の上に置く。新自由主義路線が、国民皆保険制度を掘り崩そうと動き出した。


 命の沙汰も金次第


 日本難病・疾病団体協議会をはじめ患者団体の有志らは、「医療の安全性が保てず、金持ちしか最先端の医療を受けられなくなる」と反対している。また、日本医師会や健康保険組合なども反対を表明している。
 高額な自由診療が増えれば、製薬会社や医療機器メーカーは時間や費用をかけて保険適用を受ける必要性が薄くなり、最新の医療が自由診療にとどめ置かれる可能性が高くなる。まさに「命の沙汰も金次第」ということになりかねない。
 ことは健康と命の問題だ。守るべき岩盤が首相のドリルで崩壊させられようしている。暴走・安倍政治と闘う課題がさらに増えた。混合診療解禁反対の声を全国で広げ高めよう。

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