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2014.10.07
 水俣病「救済」
 「あたう限り」は看板倒れだ



 環境省は8月末、水俣病特別措置法に基づく未認定患者救済策の判定結果を発表した。特措法は「あたう限り」の救済を掲げるが、結果は程遠い。国は昨年4月の最高裁判決に基づいて、認定基準を見直すところから出直すべきだ。


 発表では、3万2244人が一時金210万円の支給対象となった。熊本、鹿児島、新潟3県の計4万7906人について判定を進めてきた。3県では合計6万4730人が申請した。


 「線引きは不当」


 熊本・鹿児島の水俣病で特措法の対象者は原則、不知火海沿岸の対象地域に居住歴があり、原因企業のチッソがメチル水銀の排水を止めた翌年の1969年11月までに生まれた人。対象外の人は、水銀に汚染された魚を多く食べた証明が求められた。
 地域と年齢の線引きは、鹿児島の山間部で行商の魚を買って食べた住民の多数に感覚障害が確認されており、「不当」という批判は当然だ。山間部に住み、半世紀以上前に水銀汚染された魚を食べたことを証明できなかったため却下された人もいる。
 また、国が「水俣病が発生するレベルの水銀汚染はない」とする1969年12月以降に生まれた6人が、へその緒の水銀値などから救済対象となった。これは水俣病認定にも関わる重要な事実であり、特措法の「線引き」に疑問符が付く根本的な問題だ。


 情報を開示すべき


 環境省が今回発表したのは、救済者らの人数で、判定理由や居住地などの情報は明らかにしていない。隠れた被害者のために情報を可能な限り公開し、被害者の救済に結び付けるべきだ。
 熊本県の判定で救済対象となった1万9306人のうち300人弱が一時金の受け取りを辞退したという。一時金を受け取る場合、支給する原因企業チッソに氏名などの個人情報を伝える必要があり、本人や家族などがチッソや関連企業に関係していて気兼ねしたと見られる。
 また、熊本学園大水俣学研究センターの花田昌宣教授が7月末にインターネットに公開した水俣病問題に関する記事に対し、「金欲しさで騒いでいる」などと被害者を中傷する書き込みが相次いだという。こうした根強い差別や偏見が潜在的患者・被害者の顕在化、問題解決の足を引っ張っているといえるだろう。


 悉皆調査が必須だ


 国は被害者団体がいくら要求しても、水俣病の実態調査に応じてこなかった。被害者は高齢化しており、残された時間は多くない。全面解決に一歩でも近づくためには、不知火海鉛管住民の“悉皆調査”が必須だ。
 根本的な問題は、国が昨年4月の最高裁判決を無視して公健康法の認定基準を見直さないことにある。感覚障害のみの水俣病を認めた最高裁判決に従えば、今回の救済対象者の中にも公健法で認定されるべき被害者が相当数いるはずだ。

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