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2012.1.24
福知山線脱線事故の無罪判決(上)
遺族に強い憤り 
山本 実

 05年に起きたJR西日本の福知山線の事故の会社責任を問う裁判で神戸地裁(岡田信裁判長)は1月11日、山崎正夫前社長に無罪判決を出した。判決を受けて問題をライターの山本実氏に2回でレポートしてもらう。


 息子に報告できない(遺族)


 事故から丸7年を前にした1月11日、神戸地方裁判所101号法廷で判決は言い渡された。

 09年12月から28回、終日審理を含む濃密かつスピード公判だった。

 刑事訴訟法の改正により、遺族約40名の傍聴枠が確保され、被害者参加人として検察側に2名が座り、証人尋問が許されるなど、従来にない犠牲者・遺族の目線に立った公判でしたが、判決は予想外のものだった。

 遺族は、「(亡くなった)息子に報告できない。これで無罪なら、どんな事故も無罪になる」(上田浩志さん)など、落胆の心境を語った。


 事故の予見可能性も過失責任も否定

 
 
「ATS―P型の設置は、法的義務はなく」「JRに(事故を)予見する可能性があったといえず」、「結果回避義務違反」とはいえない、と判断した。

 一方で、「組織としての安全対策という点で、…(大規模事業者として)期待される水準には及ばない」としながらも、巨大組織・JRを動かす安全総責任者としての過失を認めなかった。

 今後続く、「歴代三社長(井手・南谷・垣内)の裁判(強制起訴)」や東京電力第一原発事故などの訴訟にも影響を与えることも想定できる。


 隠す!過小評価する!嘘をつく! (社員証言)


 15回行われた証人尋問では、数名の社員を除き多くの関係社員が、捜査段階での「自らの証言(検事調書)」を否認し、口裏合わせと思える証言を繰り返した。

 「カーブは危険ではなかった」「乗務員の速度超過は、考えられない」「R(曲線)の意味がわからない(ATS―Pシステム基本機能編編集委員)」等、鉄道員なら自明の常識さえ、堂々と否認「証言」した。

 これに加えて、JR弁護団の訴訟指揮は、大阪地検特捜部の「FD改ざん事件」に便乗し、検察側の強引捜査≠徹底して印象付けるものだった。

 山崎正夫前社長は、裁判の前、「本当のことをしゃべることが、償いになる」と心境を語ったが、被告本人も社員の多くも遺族・傍聴者さえ呆れるようなねじ曲げやウソを公然と繰り返した。

 傍聴した遺族のほとんどが、判決解説の検事に控訴を求め、「納得できん」「死ぬまでJRと闘う」と心根を吐露したのは、このようなJRの企業体質を見せつけられた自然の成行きと思われる。



【福知山線事故】2005年4月25日9時18分、JR福知山線塚口―尼崎駅間で、上り快速電車がR300の曲線区間(制限速度70q)に115キロの速度を減速せず突入し、脱線転覆。乗客106人と運転士(27歳)が死亡、562人が重軽傷を負った。

(続く)

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