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2012.1.31
福知山線脱線事故の無罪判決(下)
経営責任の厳格化を 
山本 実

 05年に起きたJR西日本の福知山線の事故の会社責任を問う裁判で神戸地裁(岡田信裁判長)は1月11日、山崎正夫前社長に無罪判決を出した。判決を受けて問題をライターの山本実氏に2回でレポートしてもらう。


 繰り返される事故の卵と隠蔽体質(JR西)

 
 JR西日本は、「会社の責任は変わらない。これまで以上に被害者対応と安全性向上、企業風土の改革に取り組む。(佐々木隆之社長)」と声明を出したが、冷ややかに受け止められている。
 「安全性向上計画(事故直後)」に続き、現在推進中の「安全基本計画(08〜12年)」は、『お客様の死亡事故ゼロ、(関連会社含む)社員の重大災害ゼロ』に向けた体制の構築をうたう。
 しかし、職場内では、「社員の安全意識の向上やヒューマンエラーの根絶」を押し付けるばかりで、それ自身が労務管理の強化となっている。最大労組の西労組内でさえ「(基本計画で)トップの思いが伝わっていない=45・2% (昨年アンケート)」と答えている。


 さらに進む合理化と外注化


 何よりも地裁証言に見られる会社と社員の姿勢は、ますます上意下達の官僚的企業体質と企業一家的な労使関係の強まりを示している。
 表は、最近の事故の一例だが、本当に初歩的な事故が増えており、ほとんどが、会社の一方的事故情報以外、現場に伝わっていない。(労働安全衛生委員会も形式のみ)物言えば唇寒し…自らの命にかかわる事故の卵でさえ、告発されにくい職場状況が伝えられる。
 餘部(1986年)、信楽(1991年)、福知山線(2005年)とほぼ10年間隔で大事故を繰り返すJR西日本。2010年代に、さらに重大な事故を再発することはないか?危惧する声も聞いた。


 求められる経営者の安全責任の厳格化


 今回の神戸地裁判決は、事故調査委員会の最終報告と同じく、「死亡した運転士のヒューマンエラー」を主因とし、副次的要素とされた過密ダイヤ日勤教育、上意下達の企業体質を含め、組織的企業責任の中心たる経営陣の責任を免罪することになる。
 法人の罪を問える英国流の法改正もいわれるが、日本のように帰属意識の強い企業体質の社会では、企業経営の根幹を握る経営責任者の無制限に近い権限の責任を厳格に問うことが何よりも必要ではないだろうか?

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