今週の新社会

生きてくれ "公の劣化"浮き彫り
希望と連帯の社会を

2021/04/20
 「生きてくれ コロナと貧困」をテーマに4月4日、東京都内で反貧困ネット全国集会が開かれた。外国人労働者を含む深刻な実態が熱心に報告され、懸命な支援の努力の一方で、公的部門の劣化など課題が浮き彫りになった。
 
コロナと貧困テーマに
反貧困ネット全国集会

 主催者の宇都宮健児弁護士は冒頭、「SOSの電話が連日かかってくる。年越し派遣村の時より女性や若者、外国人の相談が増え深刻化している。反貧困ネットを社団法人化し活動をバージョンアップしたい」と挨拶。

 反貧困ネットの瀬戸大作事務局長は、コロナ災害緊急アクションが取り組んだ緊急給付支援活動・住まい確保・対政府交渉を報告、「解雇で住と収入を失った野宿者が激増。対応すべき公的制度は全く不十分でコロナ緊急基金に寄せられた1億2千万円から5千万円を緊急給付したが焼け石に水だ」と訴えた。

 さらに「野宿者への自治体支援もホテル提供は一部。生活保護申請も住まいがないとできず、劣悪でも宿泊所や自立支援施設入所が条件。住まいの貧困解決のため制度要求する」などと報告した。

 移住者問題を取り組む稲葉奈々子さんは、「長年日本に住み難民申請しても在留資格が認められず、公的サービスは対象外。緊急事態宣言で解雇、国の救済対象でもない。そこを感染拡大が襲い、コロナ禍が難民問題解決の緊急性を改めて明るみに出した」と報告。

 群馬、千葉、東京・府中から困窮者向け相談会や食糧支援、役所窓口への申請サポートなどの報告。府中の取組みは自治体も協力し、瞬く間に「コロナ困りごと」相談会が三多摩7市に広がった。

 外国人の相談が多く、クルド難民支援者は、健保がないので病院に行けず、3万円の支援金も食べ物に使う実態だが、「日本に支援者がいることが分かっただけで心強い」と喜んでいると報告した。

 北海学園大からは学生の困窮、名古屋のユニオンからは外国人労働者雇止めに対する取組みが報告された。

 ハローワークの非正規相談員は、窓口に来る人々の切実な声と、人員不足で応えきれない実態を語った。相談員自身が年度ごとの契約更新・不安定労働者という問題、保健所が半減しただけでなく、金儲けになる自治体部門が企業委託で住民サービスが劣化した問題など訴えた。

 韓国からはズーム参加で、住民と公的部門が一体となったコロナ禍の困窮や孤独死防止対策が報告された。

 集会宣言は、「『コロナになってもならなくても死ぬ』『コロナで死ぬことより、いかに毎日を生き抜くか』を考えるほかない日本社会。コロナが収束しても、その後の大災害やパンデミックを乗り越えることは困難。今こそ分かち合い、支え合う希望と連帯の社会ヘの転換を」と訴えた。