今週の新社会

労働運動に刑事罰 組合つぶしが目的
関生狙い撃ち大阪地裁判決 

2021/07/27
判決後の集会で「労働組合が正当に権利主張するのが当たり前になるためにストで闘い、市民と労働者の団結を」と訴える武建一委員長=7月13日、大阪地裁前

 産別労働運動をけん引し、生コン業界の民主化を担う全日本建設運輸連帯労働組合関西生コン支部を狙い撃ちした3件の裁判で大阪地裁(佐藤卓生裁判長)は7月13日、1件を無罪、他の2件を懲役3年・執行猶予5年・未決換算190日の不当判決を出した。労働組合活動を刑法犯に仕立て、歴史を巻き戻す恐るべき判決だ。

 長い闘いの中で勝ち取ってきた労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権は憲法28条で保障され、刑法免責も規定されている。

 しかし、関西の生コン業界で民主化と労働条件向上のキーマンとなってきた関西生コン支部を排除しようと、業界団体と警察が一体となって事件をでっちあげた。

 有罪となった事件は産別ストライキ中に、ストに参加してほしいと説得活動を行ったこと、もう1件は現場で法令順守を求めたもので、恐喝未遂や威力業務妨害で武建一委員長ら組合員を逮捕して長期拘留した。

 現場にいなかった武委員長逮捕と判決は共謀罪の先取りだ。ストライキを計画したこと自体を罪としたのだ。

 7月16日に「関西生コン武委員長・判決報告集会」が東京の連合会館で開かれた。集会で紹介された判決直後の映像で、武委員長は「心に決めてきた。実刑もあると考えた」と心の重さを語り、「労働組合が正当に権利主張するのが当たり前になるためにストライキで闘い、市民と労働者の団結を作ろう」と訴えた。

 全日建連帯労組の小谷野毅書記長は不当判決を糾弾し、「実刑判決を出し、組合をつぶそうとした狙いは阻止した。組合会館建設のカンパ金1千万円の恐喝容疑は、実証がなく無罪となった。権力のほころびが見えてきた。他の5件の事件と今回の3判決の大阪高裁での闘いに全力を尽くす」と力強く決意を述べた。