今週の新社会

新しい戦前にさせない
軍拡より生活
子どもたちの未来に平和を!
共同テーブルシンポジウム 第2回

2023/03/15
   発言する法政大学前総長の田中優子さん(左)と、右へ竹信三恵子さん、雨宮処凛さん=2月28日、東京都内

    「新しい戦前にさせない」共同テーブル連続シンポジウム第2回が2月28日、東京都内で開かれた。

    呼びかけ人で日体大教授の清水雅彦さんが開会挨拶し、主催者を代表して佐高信さんが、「岸田首相の軍拡か、医師の中村哲氏の平和の実現か」と日本の“針路選択”を提起した。

      軍拡止めないともう少しで戦争

     「平和を求め軍拡を許さない女たちの会」から4人が発言。最初に法政大学前総長の田中優子さんが岸田政権の外交と日中、日韓関係に触れた。

    「中国はひとつであり、台湾がその領土であることは日中共同声明で確認され、今も生きている。台湾有事は日本の有事と言うが、説明はない。米シンクタンクは『2026年に台湾有事』のシミュレーションをしたが、戦争は起きたら止まらない。岸田内閣は全国300の自衛隊基地の『強靭化』を進め、27年まで軍事費43兆円の陰で教育、少子化対策は後退し、軍拡と外交無き政治は、日本の滅亡の道」と指摘。

  「軍拡を止めないと、私たちが生きているうち、もう少しで戦争が起こる」と強い危機感を訴えた。

      戦費を出すのは当たり前の風潮 

      次に、和光大学名誉教授の竹信三恵子さんが発言。「軍事費43兆円で、公務の民営化と貧困はますます進む。シングルマザーがコロナ下で休業手当をもらえず、仕事を失って1日2食など貧困化が常態化している。最低賃金制も仏には物価上昇に対応した仕組みがあり、中小企業には社会保険料の減免処置もある。一方、日本は公共が劣化しボロボロ。ウクライナ戦争で世論を煽り、戦費を出すのは当たり前の風潮を変えないと生きていけなくなる」と訴えた。

    フリーライターの和田静香さんは、自身のパート労働者の経験から発言した。

   「コンビニのおばさんで這いつくばっている生活から、今の政治を真剣に考えてもらうこと。低賃金は自己責任ではないことを拡げない限り解決できないとの発信が必要」と強い危機感を提起した。

      貧困の若年化と女性増加が進む 

      反貧困問題を長年取り組んでいる作家の雨宮処凛さんは、パネルを使って貧困とホームレスの現状を説明。

    「コロナ災害緊急アクションでは2000件のSOSを受けた。アンケートの60%が10代から30代、若年化が進み女性の割合の増加、住まい無し、所持金100円」「電気、ガス、水道の停止」などの実態に対する政府の無策を厳しく糾弾。生活保護費の引き下げ、「困窮者より旅行支援」を「逆さま政治」と批判した。

    社民党の福島瑞穂党首は、国会情勢を報告した。

     『はだしのゲン』今こそ拡げよう

    講談師の神田香織さんも会場発言。36年間語ってきた『はだしのゲン』を広島市が小中高の平和教材から削除した問題で、「ウクライナ戦争、プーチンの核など、今こそ『ゲン』を全国に拡げなくては」と訴えた。

    佐高さん、清水さんが結びの言葉を述べ、会場カンパ5万3700円が「女たちの会」の活動費として田中優子さんに手渡された。