今週の新社会

カジノの是非 住民の投票で

2020/12/01
横浜市のカジノを含む統合リゾート(IR)誘致の賛否を問う住民投票を求める署名は、法定数の3倍を超える20万8073筆に達した。写真は中区の選管に署名を提出する「カジノの是非を決める」のメンパーら。左から4人目は共同代表の小林節慶大名誉教授=11月13日

横浜市 署名20万8073筆

条例制定請求ヘ  法定数3倍超「むげにするな」


 横浜市のカジノを含む統合リゾート(IR)誘致の賛否を問う住民投票に向け、9月4日から11月4日までに集めた署名簿を各区の市民団体が11月13日に一斉に提出した。署名数は18区全体で法定数の3倍を超える20万8073筆に達した。達成率最高の金沢区では、法定数3361に対して1万5606筆、464 ・3%に達した。    (神奈川・吉田)

 選挙管理委員会が20日以内(12月3日まで)に実施する審査で有効署名数が法定数(6万2541筆)を上回れば、市民団体は12月中に林文子市長に住民投票条例を直接請求する。

 各区のカジノの是非を決める会はこの日、区選管の担当者に「横浜市条例制定請求書」をダンボール2103箱に詰めた署名簿ととともに提出した。選管は今後、選挙人名簿と照らし合わせて有効性を確認、12月3日までに有効数を発表する。発表後は約1週間、名簿を公開して異議申し立てを受け付ける。

 横浜市民の会は最短で12月中旬に直接請求し、21年1月の定例市議会での審議を求める方針。共同代表の小林節・慶応大学名誉教授は「かなり満足している。法定数の3倍を超える署名を市議会がむげにしないことを期待する」と語った。

 署名活動には数多くの「受任者・サポーター」が参加し、法定署名数を大きく上回る署名を獲得した。また、政党では立憲民主党、共産党、社民党、新社会党、緑の党、神奈川ネットワーク運動が参加、労働組合も協力するなど幅広い多くの市民・団体が結集した。

 林市長は13日の定例記者会見で約20万の署名が集まったことに対し、「IR誘致にご関心があること、ご心配されていることが表れたと認識している。適切に手続きを進めたい」と話した。

 横浜港ハーバーリゾート協会の藤木幸夫前会長は、IR誘致について「命がけで反対する」と認めない姿勢を改めて表明した。また、来年夏の市長選にも言及、誘致を掲げる候補者は「支持どころではない」と述べた。

 住民投票条例の帰趨が、市長選とIR誘致問題を決着させることになる。横浜市民が「賭博の街」を拒否するか、選ぶか、民意が問われる。