今週の新社会

衆議院を通過
学術会議 解体法案

2025/05/21
「日本学術会議解体法案を採決するな! 廃案を!」と訴えて声をあげる市民ら=5月8日、衆参の議員会館前で

参議院で廃案へ
闘いを盛り上げよう

    
科学者らが戦前・戦中、戦争協力させられた反省から、戦後の平和と民主主義を支えてきた日本学術会議の解体法案が5月13日、衆院で可決、参院に送られた。自公や維新などが賛成した。菅義偉首相(当時)による6名の任命拒否で始まった学術会議解体・戦争に協力させようとする攻撃を許すわけにはいかない。

衆院審議では  
  国会包囲行動

    
日本学術会議法改悪法案の審議が衆院内閣委で大詰めとなった5月7日から9日の3日間、国会周辺で採決を止めようと連日集会が開かれ、衆参の議員会館前では「人間の鎖」が繰り広げられた。 

       連日、多くの市民が集まったのは、2017年に3度目の「軍事目的のための科学研究を行わない」との声明を発表した日本学術会議を変質させようとする政府の意図が明白だからだ。攻撃の始まりは、20年の菅内閣による違法な6名の会員候補の任命拒否だ。 

      その後の内閣も任命拒否の理由を明らかにせず、多くの国民の抗議・撤回要求にも応じず、学術会議の申し入れを無視して法案提出を強行した。 

   「学術会議の独立性は守る」としながら、法案には内閣の意向を反映させる仕組みが数多く入っている。 

      会員による新会員の推薦に、会員外から会員の選定方針等について意見を述べる選定助言委員会設置、しかも選考基準に経済団体その他の民間の団体等の多様な関係者から推薦を求めることという規定が入っている。 

     学術会議の運営にも首相が委員を任命し、中期的な活動計画の策定や業務の実績等に関する点検・評価の方法・結果について意見を述べる日本学術会議評価委員会が内閣府に設置される。さらに首相が任命し、業務を監査して監査報告を作成し、業務・財産の状況の調査等を行う監事も新設される。 

      財政的にも国の特別の機関とされてきたが、特殊法人になれば財政措置は補助にとどまり、不足なら稼げということになる。

     安全保障関連法に反対する学者の会の佐藤学・東大名誉教授が8日の議員会館前集会で発言したように、法案は学術会議解体そのものであり、憲法が保障する学問の自由の死滅につながる。 

     修正や付帯決議で違憲の法案の本質が変わることはなく、参院で廃案にする運動の一層の強化が求められる。