今週の新社会

敵基地攻撃能力と一体

2025/05/28
「19行動」で政府・与党が強行する敵基地攻撃能力と一体・憲法違反の「能動的サイバー防御法」の成立に抗議する市民ら
=5月19日、衆議院第2議員会館前


違憲立法は廃止に
サイバー防御法が成立


       敵基地攻撃能力と一体の能動的サイバー防御法が5月16日の参議院本会議で、与野党の賛成多数で可決、成立した。最大の問題は自衛隊と警察が相手国のサイバー空間に侵入してシステムを破壊する、つまり先制攻撃に道を開くことだ。米軍の戦略に基づき、サイバー空間でも米軍と一体化する日本の軍事システムがいっそう強化され、憲法9条の空洞化が進むことになる。 

      法案に賛成したのは与党の自民、公明と、野党の立憲民主、国民民主、維新の会で、反対したのは共産、れいわ。法案に反対してきた社民党は立憲民主会派に所属するため、退席した。 

     同法に「防御」という言葉があるが、今日の戦争がサイバー戦から始まると言われるように、相手国のサイバー空間に侵入し、システムを破壊する先制攻撃となる。相手国の反撃を引き起こして、ミサイルが飛び交う戦争にエスカレートする。 

 サイバー監視は主に警察が担い、高度で組織的かつ計画的な行為には自衛隊が対応することになる。 

 日本・自衛隊が関与するサイバー戦争は米軍による情報提供や、米軍と一体化した作戦・指揮のもとで行われ、国際公約し政府を縛る、二度と戦争の加害者にならないとの憲法9条違反である。 

 国内的にも憲法で保障された通信の秘密を破って民間の通信を常時監視できる。一定の条件付きと言いながら、その条件は緩和され、市民監視の乱用の恐れは強い。政府の意図的運用を防止するための修正も、政府の運用に対応を委ねるもので実効性は乏しい。 

 政府が通信インフラ事業者や民間事業者と協定を結べば、政府が本人の同意なく通信情報を取得でき、個人情報の蓄積が共謀罪などに援用されかねない。

 また、令状なしに通信情報が警察に提供されることは、令状主義を破壊するものだ。違憲立法廃止の闘いが今から求められる。