今週の新社会

翼替国会で進む
戦争法制の成立

2024/05/22
秘密保護法を許すな!

(左)「経済安保情報保護法案」に反対して開かれた国会前集会。右端が海渡雄一弁護士=5月9日、参院議員会館前  


(右)今国会での戦争法(案)

経済安保法や統合作戦司令部設置… 

  戦争国家法制の「経済安保情報保護法案」と「防衛省設置法改定案」は5月10日の参院本会議で与党と立憲民主党などの賛成で可決、成立した。衆院でも英伊との次期戦闘機の共同開発に向けた条約の承認案が10日審議入り、即日採決で与党や立憲民主党などの賛成で可決、14日の本会でも可決、参院に送られた。昨年の通常国会での「防衛産業支援法」「防衛力強化財源確保法」に続き、戦争国家の法体系が急速に構築されている。

  経済安保情報保護法は、企業活動における国の安全保障に関する情報を秘密指定し、その取扱者の適性を調査するもので、大学等の研究者にも及ぶ。

  参院内閣委で法案が採決された9日、参院議員会館前で開かれた集会で参加者は、「特定秘密保護法の改悪で、秘密保護法に経済分野条項を追加するもの」と指弾。「野党が政権暴走のストップ役になっていない」と厳しい批判も上がった。 

  秘密保護法対策弁護団の海渡雄一弁護士は、福島国際研究教育機構と、米国ハンフォードの核開発の中心機関PNNLとの覚書の締結に触れ、「福島復興をうたう『イノベーションコースト構想』が核開発につながり、その秘密保持のためにこの法案が必要だったのでは」と指摘した。 

  悪法に反対したのは共産、れいわ、沖縄の風、賛成した立憲民主会派に所属する社民党議員は退席した。 

  改定防衛省設置法は陸海空3自衛隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を設置するもので、自衛隊を米軍の指揮下に置く体制作りの一環だ。 

  海渡弁護士は9日の集会で、「自民党がボロボロになっているなか、野党が攻めて攻めまくれば廃案に追い込めたのに」と悔しがったが、翼賛国会の実態は極めて深刻だ。 

  政府と地方自治体は本来対等平等だが、「緊急時」に政府が自治体に指示できるとする「地方自治法改定案」が7日の衆院本会議で審議入りした。法案は緊急時を「感染症や災害」とするが、「戦争事態」を隠しており、戦争法の一環だ。 

  衆院で審議中の「食料供給困難事態対策法案」も戦時の食料確保に関する法案。対象事業に一般港湾運送事業を追加する「経済安保推進法改定案」も、戦争で国民や自治体、企業等の協力、一体化を進めるものだ。