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命軽視のトランプ打倒
米大統領選はバイデン勝利 分断修復へ

2020/11/17
米国大統領選は11月7日時点で民主党のバイデン候補の勝利が確実となり、4年ぶりに民主党が制した。しかし、敗れたトランプ大統領は裁判に訴えて自身の当選を確保しようと敗北を認めず、混乱も指摘されている。

 大接戦だった選挙は僅差で勝敗を分けたが、それは米国内の分断状況を示している。世界で最も豊かといわれ、民主主義まで「輸出」する米国は、国民皆保険さえない社会保障の貧しさの下で、失業と低賃金が広がる一方、0.1%の超富裕層が富を独占している。

 この格差と貧困が敵を作り出し、有色人種に対する差別意識を醸成している。人種差別や中国との敵対意識を煽り、雇用を作り出すというトランプ大統領に、なお半数の有権者が期待を寄せた。

 しかし、今回新型コロナ対策の失敗や、「ブラック・イズ・マター」の盛り上がりに見るトランプ大統領ヘの忌避はバイデン民主党の勝因の一つだ。

 その伏線は、前回民主党候補者選びが最後までもつれ、トランプ氏勝利につながったことを反省したことにある。サンダース氏はバイデン氏と、富裕層・大企業増税などによる所得の大胆な再分配、環境などで共同政策を作り、候補者の一本化に貢献した。

 資本主義の牙城の米国で社会民主主義的なグループが存在感を示して、世界を混乱させ、企業活動優先=命軽視の風潮の根源となったトランプ大統領を倒したことは歴史的だ。

 ただ、同時に行われた上下院選挙は、下院でこそ民主党が多数を取ったが、上院は大統領選以上に伯仲している。多数派を決定づける最後の2議席の確定は、1月にずれ込みそうだ。

 また、バイデン大統領となっても日米関係は変わらず、自公政権の下では沖縄の辺野古基地建設中止や日米地位協定改定の見通しはない。日米関係は実は日本の国内問題であり、国内の民主主義こそが問われている。