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新社会党第30回定期全国大会
2025 年大阪・関西万博の中止を求める決議

2024/04/14
2025 年大阪・関西万博の中止を求める決議

 2025 年4月から大阪市の夢洲で大阪・関西万博(以下「万博」)開催が予定されている。
しかしその準備は致命的な遅れとなっており、主催者の日本国際博覧会協会が2024 年4月から導入された建設業界への時間外労働の上限規制を、万博には適用しないように政府に求めたほどである。しかしこの規制は労働者の命と安全を守る目的で導入されたものであり、万博開催を口実に適用を除外することなど許されるものではなく、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマにも反するものである。

 2023 年 12 月に政府が公表した万博費用の全体像では、会場建設費や日本館建設費を含む万博に直接資する事業の国費負担は 1,647 億円と算定され、他には会場周辺のインフラ整備費としてアクセスの向上などで 8,390 億円、インフラ整備費総額は約9兆 7,000 億円に上るとした。うち約5兆 9,280 億円は、広域的な交通インフラの整備として中国地方や四国の自動車道の整備など、万博に便乗するものであり、同時に上下水道などの整備は維新が進めるカジノ建設の基盤整備としての側面を有している。半年で解体する大屋根リングの350億円や2億円のトイレなど到底国民の理解は得られないものである。

 本年3月28日、建設現場では可燃性ガスに工事中の火花が引火して爆発する事故が発生した。地中の廃棄物から出たメタンガスが原因とみられている。夢洲の土壌にはダイオキシンやヒ素、PCBなどが含まれ、地震などの際には汚染物質が染み出すおそれがあり、災害時には夢洲へのルートである夢舞大橋と夢咲トンネルが閉鎖されれば、1日の来場者とされる 20 万人から 30 万人が孤立してしまう危険性もある。また大阪府・市は入場者数を増やすために児童・生徒の招待を進めているがとんでもないといわなければならない。

 もはや万博の時代ではなく、関心がない、行く予定もないが多数に上っている中で、元旦には能登半島地震が発生し、万博の中止や延期を求める声は一段と高くなっている。4月に入っても被災地のライフラインの確保や生活再建、河川・道路などの復旧の目途は立っておらず、限りあるヒト、モノ、カネは万博ではなく復興にこそ最優先されなければならない。
 よって新社会党は、もはや開催の大義名分を失い、能登復興の妨げでしかない万博の中止を強く求めるものである。

以上決議する。

2024年4月14日
新社会党第30回定期全国大会