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無償化適用を 10年間たじろがず高校生は訴え続け

2020/12/01
 毎週金曜日午後4時から5時まで、東京・霞が関の文部科学省前の「朝鮮学校差別反対、無償化適用」の抗議行動は、2010年に高校無償化から朝鮮高校が排除されたことで始まった。

 初めは差別されて悔しい思いを抱いた朝鮮高校生のやむにやまれぬ行動だったが、高校生に任せておくわけにはいかないと大人も参加するようになった。文科省前の行動は金曜日だが、都内各地で違う曜日に、そして全国至る所で無償化適用を求める行動が取り組まれている。

 10年、高校無償化法が学費を軽減することで高校への学習機会の均等を目的に施行されたが、拉致問題等を理由に朝鮮学校への適用は見送られた。

 13年、安倍政権は朝鮮総連や北朝鮮との関係を問題視、文科省令を改定して朝鮮学校を対象外とした。「外交上の配慮などで判断すべきでなく、教育上の観点から判断すべき」との政府見解との整合性はとれていない。

 昨年10月からは幼稚園・保育園の利用料無料の幼保無償化が始まったが、朝鮮幼稚園は除外、3歳から差別されている。更に今年は、コロナ禍の学生を支援する学生支援緊急給付金でも、朝鮮大学校は排除された。

 そして、政府・文科省の差別政策を追認する司法判断が続く。福岡高裁は10月30日、北朝鮮や朝鮮総連が朝鮮学校の教育内容や財政に影響を与えていると文科相が判断した点を「不合理とは言えない」とし、人権救済の最後の砦の役割を放棄した。国連・人種差別撤廃委員会も、政府に「差別是正の勧告」を行っている。

 朝鮮学校は朝鮮語を学ぶ「故郷」、未来への希望。朝鮮学校と子どもたちに本当に渡したいのは、差別のない公的支援と日本社会だ。