今週の新社会

韓国で戒厳令 民衆がつぶす
軍政と闘った底力

2024/12/18
韓国の尹大統領辞職要求の闘いに連帯して韓統連が行ったキャンドル集会=12月7日、東京・京成上野駅前


尹大統領に退陣迫る
 

    政権運営に窮した韓国の尹ユンソンニョル錫悦大統領は12月3日夜、非常戒厳(戒厳令)を発令した。国会前に駆け付けた数千人の市民が軍の圧力に抵抗し、野党議員によって国会は4日未明、非常戒厳解除を議決、6時間で解除に追い込んだ。44年ぶりの戒厳令だったが、任期半ばを前に大統領は自ら首を絞める結果となった。

    尹大統領が発令した非常戒厳は、戒厳司令官に朴パクアンス安洙参謀総長を任命。戒厳司令部は、国会と地方議会、政党の活動と政治的結社、集会、デモなど一切の政治活動の禁止など6項目を布告し、布告令違反者は令状なしに逮捕、拘禁、押収捜索ができ、処断すると発表し、国会議長や与野党の代表者などの逮捕令状を出した。 

    韓国の戒厳令発令は1980年の軍事独裁政権以来44年ぶり、87年の民主化以降は初めてで、尹大統領のクーデターを弾劾・退陣を求める民衆の声が急速に強くなり広がっている。軍事政権の弾圧に対する長年の闘いで培われ、韓国民衆と野党、労働組合が民主主義を勝ち取った力が尹大統領を追い詰めた。 

    3日夜、ソウル市内汝ヨ矣イ島ドの国会内で研究者の会合後、近くにいた新外交イニシアチブ代表の猿田佐世弁護士はフェイスブックに次の書き込みをした。 

  「戒厳令下で、集会も政治活動も禁止で無令状逮捕も可能になっている中、国会前では市民が軍の車両が国会内に入らないよう体で止めている。参加者が若い! 大学生らしき年齢の人も、若いカップルもたくさんいた。 

    韓国の人たちすごい! 軍事政権から民主化を勝ち取ってきた人々の自然体の抵抗がとても素敵。市民の力のベスト・モデルを目の前で見せていただいた」 

    韓国国会は7日夕、野党の「ともに民主党」が提案した大統領弾劾案を採決したが、与党の「国民の力」は欠席戦術を取り、賛成が規定に足りなかった。 

    4月の総選挙で与党国民の力が大敗、金キム建ゴン希匕・大統領夫人の数々のスキャンダルが明らかになるなど、大統領の支持率は低下。11月初めには20%を割り込み、非常戒厳後は支持率16%、不支持率79%となっている。

韓統連が7日夕キャンドル行動 

   こうした状況の中、在日韓国民主統一連合(韓統連)は12月7日夕方、東京・京成上野駅前で、「尹錫悦大統領退陣! 韓米日軍事同盟化反対」のキャンドル行動を行い、200名が参加した。富山栄子党副委員長と共に参加した長南博邦副委員長が連帯挨拶した。