今週の新社会

核兵器と人類
共存できない

2024/12/25
ノルウェーのオスロ市庁舎前で市民と交流する被団協の皆さん=
12月10日、井原和洋さん提供


「核のタブー」破壊に怒り

「原爆死者への償いを日本政府はしていない」
 

    原爆による殺戮と破壊という絶望から、核兵器のない世界への希望を紡ぎだした日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が12月10日、ノーベル平和賞を受賞した。しかし、いまなお被害者救済に不合理な線を引き、核兵器禁止条約に参加しないばかりか、核兵器共有を進めようとする自公政権はその座を追われなければならない。

ノーベル平和賞授賞式で被団協・田中熙巳さん演説

   
授賞式が行われたノルウェーの首都オスロ市庁舎を取り囲む松明パレードに包まれて授賞式に臨んだ被団協代表団は、田中熙てる巳み 代表委員が受賞後の挨拶で広島と長崎、そしてビキニ環礁での被ばくの実情、その後の活動を語り、核兵器の保有と使用を前提とする核抑止論を批判した。 

    そして、核兵器国とそれらの同盟国の市民の中に核兵器は人類と共存できない、共存させてはならないという信念を根付かせ、自国の政府の核政策を変えさせる力になるよう呼びかけた。 

   ノルウェー・ノーベル委員会のフリドネス委員長は、「私たちは人間性を忘れてはいないでしょうか? 人類は光に向かって歩む道を選んだのか、それとも破壊と死への道を歩み続けるのでしょうか」と問いかけた。 

    また、田中共同代表は日本政府の戦争被害受任論に抗ったとの指摘の後に演説草稿にはなかった「もう一度繰り返します。原爆で亡くなった死者に対する償いは日本政府は全くしていない」と、日本政府に強く抗議した。 それに続けてウクライナに対するロシア、パレスチナに対するイスラエルの核使用の脅しに、市民の犠牲に加えて「核のタブー」が壊されようとしていることに限りない悔しさと憤りを覚えると抗議した。 

   戦争犯罪を放置し、戦争被害に対する補償を無視すれば戦争はまた繰り返される。 

   自公政権は対中国を意識して戦争準備に走っている。それを許し続ければ、戦争の片棒を担がされる。戦争が起きないとしても更なる重税と軍備優先で生活に必要な各種の制度が後退するのは必至。 

    来年は戦後80年。参議院選挙もある。衆院選で見せた「政治は変わる」事実を広め、韓国民衆の闘いに学んで主権者として積極的な政治参加を進めよう。