今週の新社会

命の選別 許さない!
「中等症は自宅」撤回を 首相・知事は辞めよ

2021/08/17
=新型コロナ感染の中等症患者の自宅療養を打ち出した菅政権を交代させようと呼びかけたウィメンズアクション(8月3日、東京・有楽町駅前)

 菅義偉首相は、新型コロナの中等症患者は「自宅待機」が基本と言明したが、中等症はいつ重症化するか予断を許さない状態だ。命を選別する方針を平然と打ち出す政権は、許されるものではない。

 自民党内も批判噴出

 東京・有楽町駅前で8月4日、「憲法9条改憲ノー! ウィメンズアクション」の開会挨拶で、菱山南帆子さんは「今日の東京のコロナ感染者は4666人と過去最高を更新し、五輪選手村ではクラスターが発生した。国民に我慢を押しつけてオリンピックのお祭り騒ぎ。その一方で中等症の患者を入院させない命の選別を始める政権は、交代させなくては」と訴えた。

 小池百合子都知事も7 月28日、「自宅待機」を主張、「特に1人暮らしの方々などは、自宅もある種、病床のような形でやって頂くことが、病床の確保にもつながるし、その方の健康の維持にもつながる」と述べた。1人で死ねというに等しい。

 首相と都知事の主張に対し、8月3日夕方放送されたTBSの「Nスタ」で、インターパーク倉持呼吸器内科院長の倉持仁医師は、「中等症Ⅱでは間に合わない。より早い段階で治療するために抗体カクテル療法を承認したはずだが、それは入院患者に限定されている。言っていることがめちゃくちゃ。2人とも至急お辞めになった方がいい」と怒っていた。

 入院待機者が増え、消防庁がコロナの疑いのある患者の救急搬送で、病院に受け入れ可能か4回以上の問合せや、出動に30分以上かかった搬送困難が前週より4割以上増えたという状況下での「自宅待機」方針。自民党内からも批判が噴出しているが、菅首相は撤回しない。

 一方、政府はオリ・パラ開催に対しては濃厚接触者も出場できる「特例措置」を設け、受入れ自治体などは「感染対策の根底を崩す」と反発。政府はこの事態でも、「感染拡大は五輪の影響ではない。デルタ株の感染率は想定外」と強弁する。

 政府の無策と楽観シナリオの犠牲になった飲食店等の営業や雇用不安には、十分な補償をすることが政府の務めであり、財源はコロナ対策30兆円の使い残しがある。