今週の新社会

殺傷兵器 輸出解禁
岸田自公政権 国会議論もなく

2024/01/17
    岸田政権は12月22日、殺傷兵器の輸出に道を開いた。「防衛装備移転三原則」改定は、自公の密室協議の提言を受けて閣議決定、運用指針改定は国家安全保障会議で決定。いずれも国会議論なし。同時に迎撃ミサイル「パトリオット」の米国輸出も決めた。政権は、平和憲法否定の「死の商人国家」の道に踏み込んだが、自民党のパーティ券疑惑によってその正当性が揺らいでいる。

〝死の商人〟国家へ暴走

     改定「三原則」を即時適用したのは、「パトリオット」の米国輸出。米国がウクライナ支援で不足した穴埋めを自衛隊保有分で補填するという。今回の改定も殺傷武器の戦闘中の国への輸出は認めないとするが、米国を仲介したウクライナへの武器支援だ。 

   「武器輸出三原則」は60年代から70年代に国会議論を重ね、事実上武器および武器製造技術、武器への転用可能な物品の輸出を禁じた。80年代に対米武器技術供与は例外とし緩和の流れが始まったが、抜本改定は第二次安倍内閣が2014年に決めた防衛装備移転三原則だ。 

    今回の改定は、22年12月の「安保三文書」が防衛装備移転三原則の緩和を掲げたことによる。これを受けて防衛装備品輸出企業を助成する400億円の基金創設、防衛産業を維持・強化する防衛産業強化法を昨年の通常国会で強行。これを受けて三菱電機は新規採用枠の大幅増、三菱重工はミサイル受注の大幅増を発表している。 

     来年度の軍事予算は今年度から1兆1277億円増の7兆9496億円、「三原則」緩和と相まって軍事産業は武器輸出で活況を迎えることになる。 

      一方、英伊と共同開発する次期戦闘機など国際共同開発の武器を日本から第三国に輸出することは、今回の改定では見送られた。ただ、次期戦闘機の第三国輸出に関しては今年2月末までに結論を出すとしている。