道しるべ

「選べる自由」今年こそ
”選択的”夫婦別姓

2021/01/01
 選択的夫婦別姓の実現へ動いている。1996年の法制審答申から25年。民主党政権でも実現しなかったが、早稲田大学の棚村政行教授らの調査で7割超が賛成、政府や自民党内にも動きがある。

 選択的夫婦別姓については様々な動きが大きくなっているが、地方議会で導入・議論を求める意見書が増加している。

 19年は39件だったが、20年は10月の臨時国会開会までに47件に達した。また、9月に広島高裁であった選択的夫婦別姓訴訟の判決は、地方議会の意見書について重く受け止めるべきとしている。

改めて憲法判断に

 最高裁も12月、夫婦同姓を規定する民法は違憲だとする訴えについて第二、第三小法廷が審理を大法延に回付した。社会情勢の変化を見つつ、15年に続いて改めて憲法判断する見通しだ。15年の判決は合憲としたが、15人の裁判官のうち5人が違憲としている。判決はまた制度について、国会の議論を促している。

 政府内でも橋本聖子男女共同参画担当相は10月、導入に向けた議論に取り組む姿勢を示している。菅義偉首相も選択的夫婦別姓に関しては、国民に選択の自由を与えるべきだというスタンスだ。

 自民党内の反対は根強いものがあり、第五次男女共同参画基本計画案に盛り込まれた夫婦別姓に関する記述が保守派の巻き返しで大幅に後退した。別姓制導入の議論が活発になっていることへの、保守派の危機感の現れと見られる。

 一方で、下村博文政調会長が「議論すべきだ」と発言している。また、イデオロギー的反対論の急先鋒の1人だった稲田朋美衆院議員が「婚前氏続称制度」導入を提唱している。稲田議員は考えを変えた理由について、「実際に不便を感じている人の意見を聞く機会が増えた」と語っている。

「選択」に7割賛成

 稲田議員が言うように、夫婦同姓に不便を感じる人は増えている。そして、選択的夫婦別姓に賛成の人が7割超に上るという意識調査が11月に発表され、注目を集めている。

 早稲田大の棚村政行教授(家族法)の研究室と市民グループによる、20代~50代の男女7000人の調査で明らかになった。調査は、自分は同姓を選ぶが、他の人が別性を選んでも構わない、他人が選択することを許容するかどうかも聞いたことが特色で、同姓・別姓を選べることに賛成の人が70.6%になったのだ。

 「選べる自由」を1日も早く、今年こそ必ず実現しよう。