鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

今年の課題  第84回

2022/01/12
  今年7月、参院選挙。自民・公明与党と維新で、また議席の多数を占めれば、改憲へのドライブがいっそう強まる。 

  ウルトラ改憲の安倍、麻生、菅などによる「民主主義の危機」を訴えていた岸田文雄首相も首相に就任すると、「自民党の総力を挙げて改憲」と挨拶している。維新もさらに改憲を煽るであろう。 

  当面の政治的最大課題は、改憲衝動を阻む運動をつくることだ。それとなんとか脱原発の運動の拡大にむけたい。3月26日、東京・代々木公園で「さようなら原発」集会。老朽原発の再稼働認めない、から攻勢を強めたい。 

  ①青森県六ヶ所村の核燃料再処理工場②沖縄・辺野古の米軍新基地③JR東海のリニア新幹線。この三大虚大工事は即刻中止せよ。このバカげた工事がいまなお続けられているのは、日本の不思議というか、自民党の頽廃そのものだ。 

  六ヶ所村の核再処理工場は、2009年からぴくりとも動いていない。試運転が失敗したまま12年。それでいて日本原燃という会社が倒産しない。消費者の電気料金から、勝手に維持費を引いているからだ。 

  これから稼働する見通しもない。が、政府も経産省もやめるとはいわない。夢(架空)の「核燃料サイクル」の中心に据えられた虚妄の存在だからだ。 

  辺野古の新基地は玉城デニー沖縄県知事が、政府の計画変更を認めない、と決定した。と、国は「沖縄振興予算」を一割以上、330億円も削る露骨な弾圧をかけた。地方自治を踏みつける「侵攻予算」だ。 

  巨大な米軍新基地を沖縄に建設する、沖縄の将来をさらに戦争に縛りつける政策は、認められない。 

  リニアモーターはJR東海の経営の失敗だが、すでに財政投融資から国家資金3兆円を貸し付けている。南アルプスに長さ25㌔のトンネルを掘る、環境破壊、神を恐れぬ行為だ。超音速旅客機、コンコルドの失敗を思え。 

  すでに死者が発生した。掘り出す残土が後楽園ドームの46杯分。捨て場に六ヶ所村の買収地が狙われている。日本をめちゃくちゃにする三大トンデモ工事は許せない。