鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

軍事大国ニッポンへ  第189回

2024/04/10
  3月下旬のこの欄で、戦闘機輸出を狙う岸田首相を「羊の皮を被った狼」と批判した。ついに3月26日、国会にはかることなく、政府の国家安全保障会議で「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定、戦闘機の輸出解禁を決定した。集団的自衛権行使の容認、敵基地攻撃能力の保有に次いで、武器輸出の決定。 

  岸田首相は平和国家のプライドをかなぐり捨て、一挙に軍事国家に変身させた。 

  1976年、三木武夫内閣のとき、先に佐藤栄作内閣が決定していた、共産圏や紛争当事国への武器輸出の禁止を、さらに厳格化して「武器輸出は謹む」との政府統一見解を決めた。それは半世紀ほど守られてきたのだが、2014年、安倍晋三首相が「移転禁止先の明確化」などの条件つき、「防衛装備移転三原則」を決めた。 

  この時からの後ろめたさからか、「防衛装備移転」などという大衆欺瞞語を使いはじめた。が、今回は「現に戦闘が行われている国は除外する」との原則を緩めて、大量殺人が可能な戦闘機の輸出を認めたのだ。 

  人を殺して金儲けをする「武器商人国家」となる今回の決定は、平和主義を掲げる憲法の理念の放棄であるばかりでなく、その放棄が国会での討論を踏まえることのない、政府の独断だった。民主主義的な手続き無視の暴政だ。 

  昨年12月にも、武器輸出規制を緩和して、ライセンス生産国への輸出が可能とされ、地対空ミサイル「パトリオット」の米国輸出を決定している。輸出拡大は兵器メーカーの最大の欲望であり、三菱重工業、IHIなどの悲願だった。 

  岸田内閣は、有事の際には自衛隊が空港や港を使用できる、那覇空港など16カ所の「特定利用空港・港湾」の指定も狙っている。

  さらに在日米軍の機能強化のために、自衛隊との「指揮系統」を連携させる方針や米太平洋艦隊司令官を日本に派遣する案も浮上している。平和憲法下の軍事大国化は、矛盾であり欺瞞、かつもっとも危険な方針だ。 

  前々回で紹介した宮崎かづゑさんの『遠い道』は『長い道』の誤り、訂正してお詫び致します。